2025.6.22
先取り学習の意味はどこに
2025.6.22
先取り学習の意味はどこに
(クラシックL字を卒業したくない息子)
今日はラウンドレッスンでした。猛暑。風があったのがまだ救い。いつもは暑かろうが気持ち悪かろうが、息子がずっと炎天下のなか立ちっぱなしでゴルフしてるんだから、親の私が日陰で優雅に座って見ているのはダメだと信念を持っていましたが、今日は何故か耐えられず。おそらく今日の体調でもゴルフをしていれば大丈夫なんですけどプレーせずに見学のみだと何故かキツい。やりたくなってしまう。
前回同様、高校生のお兄さんが参加されていて、次に会うときには必ず聞こうと思っていたことがあったので、タイミングを見計らって1つだけ質問しました。
「息子のように小さい頃(未就学児)からゴルフを始めたのにその数年後に始めた同世代のジュニアにあっさりと高校生ぐらいで抜かれてしまう場合もあるけど、伸び悩むジュニアに共通する特徴ってある?」
未就学児からと小学校3、4年生からのスタート。これは何人もの賢人たちに聞いて回ったことです。なるほどと思う一方で、ジュニアの親としては腑に落ちない点があったことも事実。本人のやる気、センス、体格、ゴルフ環境、幼少期の道具選び、身体能力、怪我、練習量・時間、練習の質・内容、などなど他にもたくさんあるけれど、恐れ多くもそれはそれで納得する部分はありつつ、本質的なところ結びついていない気がしてなりません。
我が息子の歳では息子みたいにゴルフをしておらず今は世代を代表するお兄さんさんなので、言葉が悪いですが、追い抜いてきた立場からの意見が聞きたかったのです。失礼は承知の上で息子のためにもなるので図々しくも聞きました。親御さんも横にいらっしゃったのでお二人の意見に触れることができました。
内容は控えますが、それだとここで書く意味がないので私事に引き付けて。
今、息子は試合に出れば結果は中の上に入れますがこのままだとあっという間に… と話を聞いていて感じました。その一方で、先取り学習のひとつ、ふたつとして我々親子が取り組んできたことは間違っていなかったという点もありました。
後から追いつけいないほどの累積スイング量、練習量という意味での先取り学習の効果は成長曲線のように途中で鈍化傾向に至るので追いつかれるのは早い。息子はそのような時間は過ごしてこなかった。それなりに私も含めて量はやっていますけど。それが最優先事項ではないという意味で。
じゃあ早く始めて得られるものは何? 逆に失うものは何? 教えてもらったことを帰りのクルマで息子と話しながら議論しました。その際にふと私の頭に思い浮かんだのは、前に取り上げた『嫌われた監督』、落合博満さんです。
プロに入ってからバッティングフォームを変えたそうで、野球音痴な私でもその名とフォームを知っている神主打法に移行された*1。数多くの他者のバッティングフォームを落合さんが真似して作られた。プロになって所属チームが変わりながら打撃フォームが変わったのか?という質問に対して、「うん、変わってる。同じっていうことは一切ない。...まぁだって人間生きているから2度と同じフォームっていうのはできないんだ」と落合さん。変わらない部分ってあるのか?という質問に対して、落合さんのお答えは「いや... その都度微調整しなっがら構えてきたから... 自然に変わっていくだろうと思う」というもの。ピッチャーという相手に影響を受けるバッターのスタイルなのでゴルフとは違うところもあるけれど考えさせられます。
大人になってからの身体の適応性。
身体が成長する過程でそれまでのスイングができなくなる、あるいは、理想のスイングを求めて改善(改造、変更までいかなくても)しようとしてもできない。幼少期から蓄積され身についた癖が再現性向上に繋がる面はあるけれどそれに関連づけられた動作を変えたいとか、逆に変えたくないのに身体の成長とともにその癖が取れたりとか。
身体の成長に伴って道具を合わせる。これは松山英樹プロがジュニアに間接的に伝えていたこと。そして、重さも長さも無理しない。特に長さ。こちらは片山晋呉プロがジュニアに直接伝えていたこと。
先取り学習。お前ら親子は何に力を入れてきたの?ということですが、ゴルフにおいてまだ何者でもないですけど、意見が欲しいので2つほど。物真似力と絶対的距離感を養うこと(バカ親ですけど当て感もかな)。これらは少し上の世代を含めても上位に入るのではとバカバカバカ親ながら思っております。
前者の物真似力について、今日のラウンド前のショット練習時に先生から「ハンドアップしすぎじゃない? 手少し下げてみる?」とアドバイスを受けました。「デシャンボー好きなの? リ・シャンボーだね」と。息子の名前の頭文字のR(り)。それを取ってリ・シャンボー。真似るべきプレイヤーではないような気もするけれど、物真似が上手なのです。色んなスイングできます。今のところ再現性は低いけど強みだと思っています。
過去の引用ばかりで失礼致しました。昔から考えが一貫しているのか、あるいは、後からの正当化なのか、よく分かりませんが、考え続けているのに間違いありません。子に関しては一回だけ(「親にとって初めてその子をゴルフに触れさせる、ただ1回だけの機会」)。こちらも引用で締めっくりたいと思います。息子はお兄さんから、アプローチでのライン読みや低い弾道で止まる打ち方や条件を教えてもらったりとそれだけでも十分すぎるのですが、私から図々しくも聞いてしまった背景には親の過剰な気持ちがあるのかもしれません。許していただきたい。
*1 "【神主打法再現回】バットを握る落合博満に色々聞いてみた," YouTube:落合博満のオレ流チャンネル, 2022.9.7. 開始7分あたりから神主打法についてご本人の説明が始まります。「見よう見まね」「遊びながらたどり着いた」。1軍、2軍の選手の良いところを真似て(その人には直接聞かずに)、神主打法に至ったそう。プロの世界に入って理想のスタイルを求めて自ら変化しようとしても適応能力がないとそれに辿りつけない。適応能力を高めるのは幼少期が最適では、という考えだと、ゴルフの場合、型にはめた反復練習の弊害が際立ちそうな感じが個人的にはする。TPIがランダム学習(併用)を薦めるのもこの辺にあるかも。落合さんの「全体的なバランス」というのはゴルフのスイングにも通ずるものかと思う。「癖」という言葉も出てくる。大人になってからの「悪い癖の修正」。それが神主打法、"落合のフォーム”に結実したのだから。