2024.7.17
「メリット、ゼロ」
2024.7.17
「メリット、ゼロ」
(とりあえず今日も早い)
今回は、大人同様、ジュニアの試合でもクラブの長さに上限を設けたらどうか(設けて!)という話になります。
ジュニアクラブ選びでスペックとして最優先すべきはシャフトの長さ、というのが私の個人的な結論です。3年ほど前に1度だけ長いシャフト(ドライバー)を息子に短く持たせてみて1分(3スイング)で辞めさせました。長いシャフトを短く持ってスイングしてもアドレスからして奇妙な姿勢になります。グリップの余った部分が腕やお腹に当たらないように、そして過度にカウンターバランスっぽく制限された振り感、さらに短く持っているという意識がおそらく動作をぎこちなくさせてしまう。短く持つなら大人になっても短く持つ、あるいは、後々成長した身体で短く持たないスタイルを凄まじい量のスイングで染み込ませるしかないのかなと。ジュニアクラブの選択肢が少ない頃に育ったプロはほぼほぼ後者だと思います。“全然違和感ないですけど。短くグリップした状態から徐々に長く(ふつうに)持ってきたから”、とおっしゃるプロも多いかと。無意識での慣れ。
今の世代(7歳の息子)にはドライバーからパターまでジュニアクラブが充実しており、シャフトの長さも吊るしで沢山用意されています。偉そうな物言いになりますが、ジュニア低年齢期に長いシャフトを短く持ってスイングを身につけたジュニアを私は判別することができます。長いものをそのまま振っていた子はさらに一瞬で分かります。
そもそもゴルフは同じ道具を使うわけでないので道具からして差はあります。ただ特にドライバーは長いシャフトの方が飛ぶ。ティーアップされていることもあり、慣れれば簡単に振れるようになる。シャフトさえ軽くすれば。よって試合で使う。使わないジュニアは飛距離で損をすることに。だったら使えよ、と言われそうですが、スイングづくりにおいて何のメリットもありません。長いシャフトを使えて凄いね、なんて…
その子の長期的な成長と、なるべく公平な条件で試合を行うために、ドライバーシャフトの長さ規定が必要だと感じながらも、日々成長するジュニアに対して幅を持たせて制限することは至難の業だと思います。
子どもの成長に応じてその都度適正な長さのシャフトを用意していたらお金が半端なくかかります。アイアンやウェッジの話になりますが、ライ角がビタッと合うジュニアクラブに出会えたら、成長に応じて(身長ごとに細かく用意されていることが前提ですが)買い換えていくと手間も費用も抑えられます。フォージドでなくてもライ角を調整できるジュニア用アイアンはあります。
片山晋呉プロのオンラインサロン。メンバーになっていつもプロの考えを勉強しております。ジュニアレッスンの模様がYouTubeで一般公開されています。そのなかで、ジュニアのゴルフクラブについて言及されておられます*1。
「長いクラブを使っていいことって何もないの、子どもの頃って。メリット、ゼロ。もうデメリットしかないから。軽いものを振れた方がいいよね。今までだとやっぱり長いものにちょっと振られちゃうの。あんまりいいことないよね、それはね」
指導を受けている小学生の女の子はスイングがとても綺麗です。片山晋呉プロも褒めちぎっておられる。そのなかで片山晋呉プロがクラブを短く持つようにアドバイスを送るのですが、短く持つのが難しそうです。個人的見解になりますが、慣れてしまえば良いという話にはならないと思うのです。
試合を公平に行うために、適正な長さで。そしてその子のスイングを磨くためにも、適正な長さで。片山晋呉プロが強調されておられるように、ジュニア期に長いクラブを使うことは、「メリット、ゼロ。もうデメリットしかないから」。加えて、「軽いもの」を振る。ジュニアの試合においてドライバーの長さ規定を年齢カテゴリー別か身長別に設けて欲しい。でもそれはそれで試合でハンディを生むことになるので難しい。提案というより、願望です。試合前ですので。
*1 「我流で悪い癖をつけないことがいかに大切かわかるレッスン【オンラインサロン】」, YouTube; 45 GOLF - 片山晋呉チャンネル, 2021.7.4. 開始7分40秒あたりから。「クラブに振られている」という片山晋呉プロの指摘は他の動画でも。例えば、シャフトの硬さについて。「これで右にいくのはちょっとまだクラブに負けちゃってる。ちょっと硬いから、こうシャフトのしなりが使えない」(「ジュニア選手の保護者に伝えたい子供を強く育てる方法【ジュニアレッスンイベント】」, YouTube; 45 GOLF - 片山晋呉チャンネル, 2022.9.12)。要するに、ジュニアクラブは、長さ、硬さ、重さが大事。長くなく、しなりを感じられ、軽いもの。クラブに振られず、早く振る。片山晋呉プロからのメッセージです。