2025.7.28
"自分の打ち方で打たないと球は飛ばない"
2025.7.28
"自分の打ち方で打たないと球は飛ばない"
(前と後ろのグリーンへと交互に打つ)
YouTubeで学んだスピンのかけ方を実践の場で試すべく今日は専門施設に行きました。ピンポンパーク・イオンモール幕張新都心店。卓球の話です。通い詰め。
ゴルフと異なり卓球はプロから教えてもらってないので息子のプレーは独特です。YouTubeで見ている世界ランキング1位(元&現)、オリンピアン、全農杯優勝の小学生のプレー、そしてわたくし父や祖父母。いろんなスタイルに触れ、試し、その全てが混ざり合う。めちゃくちゃなので上を目指すなら教えてもらった方がいいかも。独学はそれはそれでいいんでしょうけど… ピンポンパークには「トレーニングパートナー」からレッスンが受けられる。
卓球でスピンコントロールの技を磨いた後は会長の練習場へ。貸切状態。なので、3つのグリーンを独り占め(+父)。ほぼ同じ場所から、それぞれのピンに向かって順番に打っていく。20ヤード、50ヤード、60ヤード。ぐるぐるランダム練習。逆目と順目も入れ替えて。その後は、1つのピンをターゲットにして、5ヤード刻みで数球ずつ打って後ろに下がって距離を伸ばして。夕方からだと日陰げで練習できるので長時間いられる。
次回から距離の打ち分けの練習を重点的に取り組もう、と昨日のラウンドレッスンで先生からお話をいただいたので少し意識して(今までと変わらないかも)、予習を兼ねてやりました。距離の打ち分け練習は小さい頃から遊びでやってきて、本人によると全部感覚で何も考えないで打ってる。4年近くバカバカ打ってきたので感覚は鋭くなったはず。それはそれで今後も続けながら(ランダム練習)、来週からプラスαとして意識と動作(こっちは反復練習になるのかな?)。
先生からは、親子でやっていて気づかないことを伝えていただいたり、分からないことを教えてもらっている。あまり自分の仕事関連のことをこちらの書き物に持ち込みたくはないのですが、"打つ”という卓球とゴルフの基本動作に関わる言葉が登場し、練習方法について考えを巡らせることができるので記します。
小西利行さん。ピンポンパークのあるイオン、その系列店のAEON LakeTownのプロデュースも手掛け、心に響く数々のキャッチコピーを生み出されてきた。日産セレナの「モノより思い出。」も小西さんのコピー。その小西さんが、経営学者の楠木建先生(同じ研究科出身の私の大大大先輩)との対談の中で、大手広告代理店の博報堂時代に何百枚もの案を提出しても採用されなかった時代を経てから飛躍した背景を次のように語っておられます*1。
「今まで一生懸命に書いたコピーは全部だめだったのに、なんでこれが一発で通るのか。改めて考えた時、結局自分の打ち方で打たないと球は飛ばないということに気づきました。それ以来、僕は自分が好きな打ち方でしか仕事をしないことに決めました」
"打ち方” と ”球は飛ばない” という言葉に触れ、私はゴルフを思い浮かべてしまったわけです。
「自分の打ち方で打たないと球は飛ばない」
超一流プロのインパクトを見れば傾向みたいなものは明確にあるんでしょうけど、そこに至るまでのプロセスはその人独自のもの。始動からフィニッシュまでのスイングそれ自体のみならず、そのスイングを獲得するまでのジュニア時代からの長期的なプロセスを含めて。結局、誰かにとっての理想的なスイングを誰かに押し付けられても、それは表層的なものであって、身体の内部、感覚に沿ったものじゃない可能性がある。
他者評価のコピーライティングとは意味合いが異なり、スコアという数字できっちりとパフォーマンスが判断されてしまうのがゴルフ。なので同じ土俵に乗せて考えても意味ないかもしれないけれど、ゴルファーとしても、なんか引っかかる、この言葉。
独学は自分との対話。一方、他者から直接教わることは、条件付きで、他者との対話。言われたことをあまり考えにせずに取り入れていたら、それは他者とも自分とも対話していない。これは避けたい。他者から教わることの方が危険が潜んでいる、と感じるのは私がキャンパスで大学生と接している機会が多いから。
どっちが良いという議論ではなく。正解を教わるよりも(正解がある世界なら)、良き対話相手としてその世界の深みを感じたい。卓球に関して息子、「絶対に習いたくない。いますごく楽しいから」。じゃあ、ゴルフは? 「松山(プロ)だって、習ってるんでしょ?」と。あれ、だったら卓球も習えばいいのに。
そもそも、お父さんが指導していたんじゃ... 独学ともおっしゃっていたこともある... 「ピートコーエンが教えてるじゃん!」と息子。よほど印象深かったのでしょう、あの映像。Peter Cowenプロが手取り足取り松山英樹プロをガイドしている。ワンポイントだと思われますし、松山プロは著書の中でお父様の指導を受けながらも独学の要素が一部あったことを記しておらます。
遅かれ早かれ、教える経験豊富なプロからどのタイミングで教わるかという話になるのかなと。そのタイミングが遅いと、デメリットがありつつ(例えば悪い癖がつくこと)、自分との対話を重ねに重ね、ある程度、型や考え、軸ができて他者との対話が充実するという強みもある。
息子の場合、卓球が後者にあたりそう。ゴルフに関しては未就学児の頃から先生にお世話になっている。他者から教わるタイミングが早ければ早いほど、本日会長のところで行った "遊び(ランダム練習)" の時間がより大事になるのではと感じております。対話力を向上させるためにも。
*1 "競争戦略におけるコンセプトの価値: その1 小西利行氏とは?" 楠木建の「EFOビジネスレビュー」, Hitach Executive Foresight Online, 2025.5.5.