2023.12.18
見た目を気にして生じる怪我
2023.12.18
見た目を気にして生じる怪我
(見返すと、美からほど遠い)
スウェーデン出身のLudvig Åbergプロ。世界アマチュアランキング1位、ユニバーシティランキング1位、ライダーカップメンバー、そして先月PGAツアーで初優勝*1 。メディアで取り上げられる機会も増えてきました。
そうなると、いても立ってもいられず、ジュニアゴルファーの親である私は、彼はどんな幼少期を過ごしたのだろうかと調べ始めるわけです。DeepLでスウェーデン語を翻訳して本国の記事も読んでいますが、現時点ではまだ良く分からないところが多い。そもそもスウェーデン語の世界で記事が探せません... アメリカGolf Digestの比較的新しい記事になりますが、ジュニアゴルファーにとって参考になりそうなものを見つけました。
「Ludvig Aberg's coach shares the secrets behind golf's new superstar—and what you can learn」*2
息子(現在6歳)よりも世代がぐんっと上がりますが、Ludvig Åbergプロは15歳から現在(24歳)に至るまでHans Larssonさんのもとでゴルフを学んできたそうです。Hans Larssonさんはスイングコーチという存在ではなく、パフォーマンスコーチ、すなわち実際のスコアを良くするためにすべての点から指導をする存在としてご自身を捉えているそうです。スイングはもちろん大事、でも打ったボールにしっかり注意を払うことで、スタイルではなく本質的なことに集中できる。弾道と打音。ボールから逆算して考えろ、とのことです。
記事の冒頭では、メジャーチャンピオンの多くがコーチと長年安定した関係を築いてきた点に触れておりますが*3、ハッとさせられたのが記事の最終パート“Protect against injury (especially your spine)”。ジュニアゴルファーに共通してみらる怪我の原因がサイドベント(側屈)であり、Ludvig AbergプロとHans Larssonさんは一貫して、側屈の量を減らすことに力を入れてきたそうです。
「側屈の量が多い場合、脊椎と椎間板?(the spine and the vertebrates)に大きな圧力が加わってしまう。… それは危険だ。一般的に、脊椎は出来る限り優しく押すことが望ましい」
怪我を未然に防ぐことがHans Larssonさんの中心課題だったとのことです。側屈だけに限りませんが、ジュニア期からスタイルや見た目を気にして、身体に負荷をかけさせたくないものです。と言いながら、スタイルを気にしているのは息子ではなく、わたくし父の方なのです。美スイングを過剰に意識した父のスイングは当然のことながら、息子がスイングをして横で私が少し苦い表情を浮かべると、息子「ほら、ボールちゃんと飛んでるよ。イライラしないでよ」と。Hans Larssonさんが強調するように、息子はボールの飛びざまを注視し、身体と対話、そしてスイングを確認しているのです、本能的に。
*1 PGA TOUR公式ウェブサイト, Players, Ludvig Åberg. スウェーデンご出身ということで、思い浮かぶのは雪景色。動画「Ludvig Åberg: Revealed | No. 1 amateur golfer in the world」YouTube; PGA TOUR, 2023.1.25. を見ると、我ら親子は恵まれているなと思います。雪国で高校までどのように工夫してゴルフに取り組まれていたのか、環境は違えど大変勉強になります。雪上からボールを打つシーンもあります。実は私の息子もこれで冬場は腕を磨いておりまして、というのは冗談ですが。ご関心ある方は以下の動画を。「日常」のコンテンツにはなりますが、昨日、今日撮影したものではありません。4歳の頃です。
*3 例えば、Brooks KoepkaプロやDustin Johnsonプロ はHarman家(親子)に教えを請い、Justin Thomas プロ、 Scottie Schefflerプロ、Jordan Spiethプロ、Jon Rahmプロ、Collin Morikawaプロ、Matt Fitzpatrickプロなどは、ジュニアゴルファーのときから特定のコーチのもとで活動しており、Ludvig Åbergプロもこのタイプ。PGAツアーにおける若いプロの最近のトレンドとのこと。本記事では触れられていないですが、Rory McIlroyプロもジュニア期のコーチに戻られました。コーチの指導コンセプト次第ですが、怪我の予防という点からもこのタイプ(親が一貫してコーチというタイプも含めて)が良いのかなと感じました。短期的な結果を求めないですし。怪我の予防という、記事の最後のメッセージにも繋がると思います。ちなみにこの記事において松山英樹プロは、“自分自身がコーチ”もしくは“信頼できるアドバイザーの軽い意見だけに頼る”というタイプに位置づけられております。