2024.9.30
球数制限
2024.9.30
球数制限
(親の夢、プロサッカー選手)
先週開催された日本男子ツアー、バンテリン東海クラシック。ドラゴン大会で優勝したのはアマチュアの松山茉生さん。つい最近、日本アマチュアゴルフ選手権を最年少で制して話題になりました。お父様がずっとコーチを務めてこられた*1。
小学生の頃から飛距離が凄まじく、お兄さんに負けずと練習に励み、歳を重ねるごとにヘッドスピードが向上して現在平均56m/sに到達*2。昨年からウェイトトレーニングを初めてさらに飛距離が伸びたそうです。
我が息子が小学校に上がる前に、『週刊ゴルフダイジェスト』の連載「キミこそ王子だ!!」で松山さんが取り上げられたのを記憶しております。なぜ記憶に残っているのかというと、執筆者の武市悦宏プロが褒めちぎっていたからです。武市プロがこの連載においてここまで絶賛するのは珍しいのです。年に2、3人ほど。その多くが女の子だった印象があります。改めて当時の記事(2年前)を読むと、課題も指摘されているのですが、個性的なスイングに触れつつ飛びのセンスを大絶賛しておられます*3。
松山さんの小学生時代と思われる映像があります*4。飛距離が凄まじいその理由は、思っ切り振り切ることを意識して練習してきたから。スイングのことはあまり考えずに、思っ切り振る。それが気持ち良い。その当時、練習場で450球を1時間半で打つというのを目標に取り組んでいたことからも、相当の体力というか身体があったのだと推察されます。
じゃあ、うちも小学生だし、やらせようかとは思いません。同年齢の子に比べれば身体は強いと思います。でも球数は制限させています。腰とか首とか肘じゃなくて、指がおかしくなるんじゃないかという思いがゴルフを始めた当初から感じておりまして。私自身が息子とほぼ同じ練習量をこなしているので、その身体への負荷がよく分かります。お前はトレーニングもしていないし中年おじさんじゃん、という声が聞こえてきそうですが、毎日ボールを打っていると身体にこたえるのは、私よりも身長が50センチも低くて体重が50kgも少ない息子の方じゃないかと。それに、手も小さく、指も細い。
表面上は大したことのない身体の違和感。別の機会でまとめますが、20歳前後で怪我に苦しむ多くのゴルファーと接してきた賢人もおりますし、他のスポーツ分野ではジュニア時代にいかに負荷をかけないでパフォーマンスを上げるかをテーマに取り組んでいる賢人もいらっしゃいます。競技を断念するという怪我のレベルではなく、本人は怪我だと思っていないけど蓄積されたものが知らぬところで邪魔をする。本人はパフォーマンスが得られない理由を技量に求めてしまう。
クラブとの唯一の接点、手(指)。Butch Harmonプロは、Tiger Woodsプロを指導するにあたって練習に耐えうる身体を手に入れるべくトレーニングを先立って行ったそうです*5。量だけじゃなくて練習の中身も相当キツいのでそうせざるを得なかった。高校時代にウェイトトレーニングを本格的にされていた様子は伝わってきません。そうであったら、トレーニングを先立って行う必要はないので。背は高くて見た目はデカくてもまだ身体のあらゆるところが成長期であるわけでして。
当て感を磨くのは量なんでしょうかね。スイング磨きも量なのでしょうか。パフォーマンスを高めるのも量なのでしょうか。私には分かりません。ただ松山さんのように、思っ切り振れる身体をつくるのは大事だと思います。それに、スピード能力は後から身につきづらい。 でも、スピード能力向上だけなら球を打つという意味での量はいらない。
本ウェブサイトでも多様なスポーツに触れる重要性について感想を書きました。ということで、今日は月曜日恒例のラウンドはせず、放課後は学校主催のサッカー交流戦に参加し、夜は斎藤大介さん監修のヨガレッスンを受講しました。サッカーやバレエの方が(or 並んで)息子は好きかもしれない... バレエは1時間じゃ足りないと言っていますし。今日のヨガに関しては、「これはゴルフにきくなぁ。またやりたい」と言っていますが、そのうちヨガを極めたいと言い出すかもしれません。オンラインのヨガレッスンは私も横で少しやってみました。呼吸法とあいまって身体が整いそうで、ゴルフ云々ではなく、深く学んでみたいと思いました。そうなると、親子共々、球を打つ時間も量も減っていく。ゴルフに戻ってこれるのだろうか... 親子ともども取り組んできたゴルフに。心配です。
偉そうに評論っぽいニュアンスで書きながら、ボールを一度も打たない日があると、これはこれで心配になります。やっぱり質より前に量じゃないかと。量をこなしているうちに質が上がるとか。ただ、質が上がる前に身体が蝕まれていきそう。
制限しなければ永遠と打ち続けてしまう息子。怪我しない球数というのがいまいち掴めておりません。見た目上の怪我防止ならともかく。
*1 「ドラコン王は16歳アマ 松山茉生が349.6ydで河本力ら破る」,ゴルフダイジェスト・オンライン, 2024.9.28.
*2 「インパクトはPGAツアー級 “規格外”の16歳・松山茉生のスイングを分析」, ゴルフダイジェスト・オンライン, 2024.8.16.
*3 「【キミこそ王子だ】Vol.280 中2で300Y超え!? 個性的スウィングながら規格外の飛距離を誇る名古屋の大器」, My ゴルフダイジェスト, 2022.8.19. ゴルフは5歳から。お父様が息子さんに投げかけた言葉は、「...とにかく、振りやすいように振れ! 」。当時から個性的なスイングだったので、周りからは、修正したら、とのアドバイスを受けていたそうです。
*4 「初となるプロの舞台へ…アマNo.1の高校1年生 松山茉生 地元開催のバンテリン東海Cで「飛距離生かしたい」, YouTube: 東海テレビ NEWS ONE, 2024.9.25.
*5 非公式になります。"Tiger Woods and Butch Harmon 2 of 7," YouTube;Tigerswoodyshow, 2010.4.23. Tiger Woodsプロにキツイと言わしめたドリル。トップでとめて、腕を振り下ろす。息子の一番のお気に入りドリルです。もちろん真似するのは形だけです。力がありませんからドリルで意図した目的を達成できるわけがありません。ゴルフ動画で一番好きなものをあげろと言われたらこれでしょうね。ここでお二人がおっしゃられている内容と現在多くの方々が指導している内容は素人目にとって真逆に感じます。お二人の考えを引き継いでいるというか、敬意を表してコーチングされている先生は日本で極めて稀だと思います。時代が違うんですかね。いくら最先端の...と謳っていても、タイガーは別でしょ、と考えているお方には(あるいはその時代のコーチング内容の本質的理解なく)、習いたいとは思いません。特に息子のように上を目指すとなると。「地球で最もボールを打ってきた人間。...数千発のボールを打つのに1年以上かかった..」とButch Harmonプロ。「やっぱり量じゃん」と息子。