2026.2.6
ゴルフを楽しむということ
2026.2.6
ゴルフを楽しむということ
(卓球ラケットの次は...)
今週は平日ラウンドが火曜日の1回だけでした。他は地味練。地味すぎて息子はさぞかし楽しくないだろうな。地味すぎて、書くことがない。
あの帝王ことJack Nicklausプロは、ジュニア時代はラウンド漬け。ほぼ毎日ラウンド。以下、ご本人の振り返り。10歳当時、週2回のグループレッスン(50人ほどの子供達と一緒に!)の後、父にせがんで個人レッスンを受けるようになった*1。
"それからの私は文字通り、ゴルフ一色の生活だった。ほとんど毎日、サイオトGCに通い、朝から晩まで練習した。日脚が長い夏の時間は練習場で数時間ボールを打った後、十八ホール回って昼食。その後、また練習して十八ホール。二回のラウンド後は練習グリーン周りでチッピングやパッティングの練習といった具合だ(p.45)"
1日36ホールを "ほとんど毎日"。我々親子は学校の後、ナイター完備の東宝調布ならやれそうだけど、そこはミドルコース。長くても300ヤードのパー4。これはなかなか真似できない。ここだと10周ぐらいやる必要があるし、そもそも平日は学校があるので。休みならできますけど。ちょうど来週1週間は学校が休みなので、本コースでやってみようかなと思ったり。36ホールだけならまだしもその前後に練習か… 作業になって楽しさが消えるだろうな、と思うけど、そこは帝王(注: 帝王前のジュニアさん)。楽しさと両立していた。
そのグループ&個人レッスンを担当し、帝王になられた後も指導をされておられたJack Groutプロ。帝王はこう綴っておられる。
"今、プロスポーツの世界には多くのコーチが存在する。だが、ある有能なプレーヤーをコーチにつけたとしても、そのコーチが生徒と意味のある関係を築かなければ、生徒はコーチからも試合からも離れていってしまうことだろう。グラントはその正反対のコーチだった。私が悩み、振り返った時、そこにはいつもグラントの柔和な微笑みがあった。いつでも、どんな時でもゴルフをするのは楽しいことなのだと教えてくれた。彼の優しい声は今でも私の耳になつかしく鳴り響いている(p.50)"
ワイワイ、ガヤガヤという意味での楽しさ、自らの進歩それ自体に紐づけられた楽しさ、試合で勝つとか何かを成し遂げた時に得られる楽しさ。そんな楽しさではない感じが私には文章から読み取れる。プレーすることそれ自体の楽しさ。それはレンジというよりは、グリーン周りを含めてコースで得られるものだと推察する。ほぼ毎日36ホールのラウンドをしておられたわけですし。
これはTiger Woodsプロの最初のコーチであったRudy Duranプロの言葉にも見出せる。前にもこのサイトで触れました。「ゴルフの目的は、プレーを楽しむことにある」と。来日され、NHK Eテレ「奇跡のレッスン」でジュニアを教える姿があった*2。そこでの一言。
「幼いタイガーは、知識はまるでないのにとてもいいゴルファーでした。あるときミスをしたタイガーに無理やり正しい技術を教えたら、かえって悪くなりました。彼は自分の感覚で成功のイメージを持っていた。タイガーからゴルフを楽しむことを学びました。ゴルフは "自分でできるんだ" と自信をもって学んでいくもの。コントロールしすぎると、自由で豊かな才能を伸ばせないのです」
コーチがジュニアから楽しむことを学んだ、と。さすが、スーパースター(注: もうこの頃からテレビ出演されているので天才少年か)。
この楽しさについては、こちらも前にも触れましたけど(再掲)、クラブヘッドプロでもあるCameron Youngプロの父、Davidさんも強調されておられた。USkids世界大会に出場した息子Cameronくんの姿を振り返り、「当時、モリカワのスコアは大したことなかったんです。そして、ジュニア時代に圧倒的な強さを誇った選手の何人かは表舞台から姿を消してしまいました。...そういう少年たちはゴルフを楽しんでいなかったので、見ていて気の毒でした。親も子もゴルフにすべてを捧げて、まるで仕事のようでしたね。しかも、彼らは失敗に対処できるほどの年齢に達していなかったんです」と。
最近の私にグサッと刺さる言葉の数々。地味練や会長のところはおろか、平日ラウンドですら楽しめていない。Davidさんのお言葉をそのまま借りると「まるで仕事」。
今週の息子は、卓球ラケットの調達に始まり、スイミング、サッカークラブでの練習、バスケの他校交流試合、運動教室、そして今日のバレエ。とにかく楽しそう。そして明日の早朝はまたスイミング? それにひきかえ、最近のゴルフはどうだ?
高みを目指す過程そのものを感じる楽しさとか、試合で勝った時に得られる楽しさとかではなさそう、帝王もスーパースターも。そしてクラブヘッドプロとして父として息子さんのみならずその後メジャーを制するジュニアさんや、その他多数のプロになれなかったジュニアさんを含めて子供たちを見まくってきた賢人からすると。
帝王はジャンボ尾崎プロについても触れておられる。
"ジャンボが何故、海外で勝てなかったのかはわからない(p.184)"
その理由について「あえて言えば」と述べておられるけど、その言葉の底にある意味は私だと読み取ることができない。帝王がおっしゃる「メジャーで勝てなかった原因」が。深読みしてしまう。基本チームスポーツではないゴルフ。コースという多様な環境設定。自らと戦う。そしてゴルフにおける楽しさとは...
明日はお友達3人とラウンドの予定。寝る前からウキウキ。このウキウキ感に一番近そうな表現を色々と探索していたら見つけてしまいました。イコールじゃないけど、それを思い出すと言いますか、強化すると言いますか。
「技術よりもコースでプレーすることを楽しんでほしい」
By Adam Scottプロ *3
このイベントにおいてAdam Scottプロは、楽しむことに何度か触れておられる。長くなりますが、引用で。
「ボクが子供のときは、コースに行ってラウンドして試合に出るという、とてもシンプルなものでした。ところが今はコーチやトレーナーがいて、レッスン、練習、トレーニングなど、より複雑化しています。ボク的にはとてもまじめな印象を受けるんです。それがいいとか悪いとかではなく、ゴルフの環境が変わってきたということだと思うんですが、もう少しゴルフ自体を楽しむことも必要ではないか、そう思うことはあります。...また、コースという視点で日本を見ると、まだまだオープンな部分が少ない気がします。たとえば、オーストラリアやアメリカは非常にオープンです。ジュニアたちが気軽にコースを回れます。日本を批判するわけじゃないですけど、ドライビングレンジで練習する子供たちのほうが多い気がします。アメリカは国土が大きく、コースへのアクセスもいいです。日本もジュニアたちにとってコースが身近なものになればいいなって思いますね。そうすれば日本のゴルフ界ももっともっとよくなっていくはずです」
"もう少し"というお言葉を添えて。ドライビングレンジ...
「プロになると試合に出て終わりみたいにビジネス的になりやすい面もあります。そこはジュニアのときに抱いた、楽しいや嬉しいを大切にしてほしいです」
今の息子は楽しさが極度に落ちてきていると思う。私自身もプレー自体に感じる楽しさが落ちつつある。そして、まだ8歳のジュニアなのに、未就学児の頃に抱いた楽しさを思い出している様子がある。その頃はショートコースをラウンドしまくっていた。確実にプレーを楽しんでいた。原点に戻るべきか。いや違うな、原点とどう組み合わせるべきか。
*1 ジャック・ニクラウス 著・春原剛 訳(2006)『帝王ジャック・ニクラウス : 私の履歴書』日本経済新聞社. "基本"という言葉がたくさん出てくる。ジュニア時代の圧倒的なラウンド数、そして "基礎" "基本"の理解とそれに見合った練習の繰り返し。
*2 "どうすればベストな自分を出せる? 緊張しない・メンタルを保つ方法とは?タイガー・ウッズを育てたコーチ、ルディ・デュランさんの子供への指導方法。「成功の円」とは," 育児情報シェアブログ ASOBO KIDS, 2017.6.3. 非公式にはなりますが、動画もあるのでぜひ検索を。
*3 "「ゴルフで学べることは、人生においても重要なことばかり」アダム・スコットが日本のジュニアに語ったこと," Myゴルフダイジェスト, 2025.12.16. ラウンドの重要性。「ドライビングレンジでスウィングを作ったり直したりすることも必要ですが、コースでプレーすることのほうがもっと大事ですから」。イベント会場は、我々親子が休日によく行くジャパンゴルフスクール。参加したかった。