2024.1.15
タイガー・パーとマキロイ・パー
2024.1.15
タイガー・パーとマキロイ・パー
(16ft 高速グリーン、9メートル)
本日は私の体調が悪くて薄暮の親子ラウンドができませんでした。息子も若干、風邪気味です。拗らせないように大事をとって家でゴルフ。横になれ、と思いますけども、身体に負担がかかりづらいパターを。
実は本日、大事な選択を迫られておりました。世界ジュニア日本予選のシード権を行使するかどうかをIJGA(国際ジュニアゴルフ育成協会)に伝える〆切日。今年の試合に出るのか出ないのか。息子は出ないという意思表示をしております。8月開催のUS kids世界大会に集中したいとのこと。私としても参加して欲しくないと思っておりました。7月も8月もアメリカというのは現実的ではありません。日本予選で勝つという前提ですけども。でも直前まで悩みました。良い経験にもなり、次の年にもつながるし、1学年上のお兄さんたちからも学べますから。しかも美浦ゴルフ倶楽部という素晴らしいコースで2日間過ごせる。息子にはいわゆるグレードの高いコースではプレーさせないように心がけてきましたが(私にそんなに多く選択肢があるわけではありませんけども)、試合会場となれば仕方ありません。確実に仲間も増える。
そうであっても出て欲しくない理由のひとつは、7-8歳カテゴリーのヤーデージが、試合当日で7歳、とりわけ早生まれの息子に適していないこと。年末のラウンド@美浦ゴルフ倶楽部で晴れ渡った好条件でパターがある程度まとまって78。2回目は奇跡のショットがあっても77。意外とスコアいいなと感じながらも、まだ数ヶ月あるとはいえ、よほどのツキに恵まれない限りはアンダーパーで回るのは至難の業。今のところアンダーパーを目指したラウンドができません。コースも難しかったです。少なくても私にとっては。昨年、土砂降りの悪条件で出された上位のスコアには正直驚きます。
アンダーパーで回れる可能性のないセッティングでゴルフすることをこれまで避けてきました。赤ティーから打つことも多くなってきましたが、その際にまだスコアはつけていません。なぜかというと、そもそもラウンドが魅力的で楽しいと思えなくなってしまうから。ゴルフの醍醐味が消えてしまうと思うのです。コースを初めて回った時から感じていました。並べて話すのも気が引けますが、同じような感覚をプロももっているんだなと後から知りました。例えば、Tiger Woodsプロ。幼少期の頃、ホームコースの距離が長すぎるのでコーチが短めにセッティングしなおし、本人に勝負する楽しさを感じさせ、力をつけさせたそうです*1。ご本人もコーチもゴルフが楽しくてたまらない。さらにRory McIlroyプロ。父Gerry McIlroyさんのお考えについて、コーチのMichael Bannonさんによる説明とあわせて引用させていただきます*2。
Michael Bannonさん「ローリーの父親ジェリーはコースのパーを変えて幼いローリーにプレーさせました。それによってアンダーパーで回れるという自信をローリーに植え付けたんです」
Rory McIlroyプロ「私はとことん低いスコアを狙いにいくのを恐れたことはありません。11ホールで5アンダーぐらいになるとつまづく選手を何人も見てきました。みんな快調にスコアを伸ばしているのになぜか崩れてしまうんです。私は父が考え出した方法で子供の頃からロースコアをマークしてきました」
自信。早生まれの息子がさらに1学年上のジュニアと勝負になるとは思えませんし、そもそもゴルフの試合に参加する意味とは何か*3。勝つために施した工夫の皺寄せはクラブ選びとスイングそれ自体だけでなく、勝負勘と最も大事な楽しさにネガティブな影響を与えてしまう。勝つために無理をして長いシャフトのドライバーを持たせたくなってしまいます。とりわけ楽しさは(別の意味での楽しさもありますが)、試合に出て得られるものと比べると変え難い。
勝負勘に関しては下手な私とラウンドしているので身についているのかどうか、そちらを先に検討しなければと思う今日この頃です。私の腕が飛躍的に上がれば良いのですが。
*1 Duran, Rudy and Rick Lipsey (2002), In Every Kid There Lurks a Tiger: Rudy Duran's 5-Step Program to Teach You and Your Child the Fundamentals of Golf, Hyperion (舩越園子訳, 『タイガー・ウッズの不可能を可能にする「5ステップ・ドリル」』, 講談社, 2005). “パーソナル・パー”の設定の仕方はいくつかあるとのこと。ただ息子が赤ティーから打つ時に “パーソナル・パー”を設定しても結局「7打叩いちゃった」という感じになりますので、あまり私たちは利用していません。単純に適正距離にティーをさしてラウンドするスタイル。上級編にはなりますが、Ben Hoganプロですらマスターズの特定ホールで “パーソナル・パー”を設定していたそうです。ちなみにTiger Woodsプロが6歳の頃、すでに7,8歳上の子たちに試合で勝っていたそうです。7,8歳ではなく、7つ8つ歳上。飛距離でなく正確性、再現性。 これからお子様にゴルフをとお考えの親御さんは、タイガーは別だよと思われずにぜひ本書をお手にとっていただければと思います。ありとあらゆる悩みが解消できるかと思います。少なくても方向性が分かります。ラウンドがいかに大事であるか、その理由のひとつも腑に落ちます。「ゴルフの目的は、プレーを楽しむことにある」(翻訳書, p.201)。別の所でこのようなご指摘も。「ゴルフの上達を望むのであれば、なるべく上手なゴルファーと一緒にプレーするべきだ」(翻訳書, p.210)。試合に出ればそれの機会が得られるし、私が一緒にラウンドせずに年上のジュニアとラウンドすれば... 悩みが解消できません。
*2 本ウェブサイトでも紹介した動画。翻訳版がありました。こちら。「ローリー・マキロイが自らのルーツを語る | My Roots - Rory McIlroy」, YouTube; ゴルフチャンネル ジャパン Golf Channel Japan, 2020.7.1.
*3 前に本ウェブサイトでも紹介した井上透さんのお話。今の息子は累積練習量が圧倒的に不足。その負けの経験が裏目に出ることも。ちなみに美浦ゴルフ倶楽部は赤ティーから打つとさらに難しさが増します。単に距離が長くなったという感じではありません。100切るのも大変です。7歳早生まれにとって、試合のセッティングは距離的には適正かもしれませんが、アンダーパーを目指すという意味では適正ではありません。IJGAさんが考えに考えられた8歳の適正ヤーデージだと思います。