2026.10.2
ポテンシャルとセンスは何が違うのか
2026.10.2
ポテンシャルとセンスは何が違うのか
(パターマットの上に...)
金曜は野球塾の日に決まりましたが、本日は年に数回しかない休講日。ということで、東宝調布に、といきたいとこですが、金曜は混むのでいつもの我々親子ラウンドスタイルは実施不可能。じゃあ、レンジで、といきたいとこですが、わたくし父の方針により、この時期はレンジでバカバカ打たせたくない。ということで、会長のところへ、といきたいところですが、「はあ? 今日は野球の日でしょ!」という息子の意見を尊重し&父の体力を考慮して、家での地味練(注: 野球)となりました。
野球塾で習ったバッティングの復習として1週間取り組んできたのがティーバッティング。息子が未就学児の頃にすでに購入していた軽量プラスチックバットとゴムボール、そして柔らかいティースタンドの3点セット。色んなスポーツに触れさせてから一本に絞ろうと思って買ったものです。その時、息子は野球に全く興味を示さず、公園にて、地面にあるゴムボールをバットで叩き始めた。要するに、本能的にゴルフスイング。で、アンパンマンのゴルフセットを購入して今に至ったわけです。
その数年後にゴルフトレーニングの一環として倉庫からバットを取り出し、そしてまたその数年後... 先週野球塾でティーバッティングのやり方を伝授していただいて、その日にスタンドを取り出すことに。今日もそれを使って家でバッティングフォームを構築しております。右打ちだとゴルフスイングに悪影響を及ぼすかなと考え、また、左の方が打ちやすいとの息子の感覚に従って、左打ちです。地味練が終わると夕食。もちろん、DAZNで野球中継を見ながら。ロッテ vs ソフトバンク戦を中心に。角中勝也選手の引退試合。ソフトバンクの先発は息子推しの前田悠伍投手。高卒3年目にして最多勝を争う21歳。
息子をプロ野球選手に、なんて微塵もないですが、やはり気になる選手のジュニア時代。野球選手のジュニア時代を取材した記事は、ゴルフのそれと比較すると圧倒的な量があります。需要があるのでしょう。そのなかでも凄いなと思わせる記事の書き手のおひとりが、ドラフト会議の中継でもご活躍されている西尾典文さんです。雑誌の連載。そのタイトルは、"スターたちの夜明け前"。前田投手の記事もあります。西尾さんが前田投手をはじめて見たのは高校1年生の秋。その時に記した取材メモにはこうあります*1。
「フォームの流れがスムーズで楽に腕が振れ、指先の感覚も素晴らしい。抜けるボール、引っかけるボールが少なく、テンポ良くコーナーいっぱいにボールを集める。スピードは130キロ台中盤が多いが(この日の最速は140キロ)、しっかり指にかかり、数字以上に手元で勢いを感じる。(中略)ロッテの小島和哉とイメージが近い。スライダーは120キロ程度でもう少しスピードが欲しい。チェンジアップのブレーキもばらつきがある。このあたりが改善されて、スピードが上がってくれば楽しみ」
鋭い分析眼。後段にある課題が改善されて、今のご活躍につながっている。手元の勢いは数字に表れていない、という点は今日のピッチングを見ていても思うし、今日の解説をつとめていた "幕張の防波堤" こと小林雅英さんの指摘にもあった。3年生の春に肘の怪我もあり苦労されたとのことですけど、小学生時代はオリックスジュニアに選ばれたりと早くから地元でも有名だったそう。
この連載の最初は、2021年4月で、ダルビッシュ有投手。続け様に同月に、山本由伸投手*2。調べてみると、2021年と言ったら、前年に8勝をあげ、開幕投手。もちろんその時点で凄い数字を叩き出しているわけですけど、まだ超スター前夜。そんな山本投手であってもドラフト4位。記事では、怪我の影響もあったみたいですけど、地元九州では名が知れていたものの、甲子園もその九州大会も出場できず大舞台を経験していないこと、そして現場スカウトの取材を交えて「体格の問題」だとしておられる。
「当時の山本は177㎝、73㎏と投手としては確かに大柄ではない。プロのスカウトは高校生には実績よりもポテンシャルを求める傾向が強く、その点で平凡な体格の山本は物足りなく映ったと考えられるだろう」
多くのプロスカウトたちは目の前の成績よりポテンシャルを求める。高校生であっても。ゴルフの場合、チームスポーツではなく、大学ゴルフ部からのスカウトを除くと、野球で意味するところのスカウトはいないと言って差し支えないかなと。クラブメーカーの若手発掘は別かも知れないけど、浅く広く声をかける印象が私にはある。小さい頃から。よほどのことがない限りは、この子!、という感じではおそらくない。安定的に成績上位にいる子が目につくぐらいか。そのような子はいっぱいいる。男子だと大学生あたりの成績なら意味を持つかもしれないけど、それでも "ポテンシャル" ?
で、私は考えるわけです。ゴルフの世界にプロスカウトみたいな人がいたら、小学生、中学生、そして高校生(大学生)ゴルファーのどこをみるのだろうかと。成績ではないはず。それは入り口に過ぎない。
野球の世界でスカウトとして活躍するには熾烈な競争を勝たなくてはならない。選別眼みたいなものが磨かれていく。ご自身の野球経験を土台にしながら。ゴルフではそんなスカウトはいない、と思う。競争もないので、西尾さんのおっしゃる "ポテンシャル" を高いレベルで見抜ける人はいない? ジュニア指導経験豊富なコーチであっても職業として身を立てているプロスカウトの境地までには達しない? 野球だってジュニア指導経験豊富なコーチや先生はたくさんいらっしゃるのだから。冗長になりましたが、1位で指名した選手がプロ生活で苦労するケースはたくさんあるのでプロスカウトですら... とは思うけど、気にはなります、ゴルフにおいて "ポテンシャル" とは何を意味するのか。
息子におきましては、USKids 世界大会の際にはプロスカウトが使う "ポテンシャル" ならぬ "センス" という言葉を多用して、「あの子、センスあるわ〜 負けてらんねぇ」と何度も発しておりました。それは息子と同じ年齢カテゴリーのBoy 9のみならず、Boy 10, 11, 12の練習を見に行っても同じ。私もよく使う言葉ではありますけど、息子が言う "センス" は何を示しているのだろうか。明らかに体格は意味していない。ここで明示することを息子から拒否されていますので、企業秘密!、になりますが、息子本人にそれらが備わっているのかどうか、怖くて聞けませんけど、こちらも気にはなります。
西尾さんは記事の最後をこう締めておられます。
「しかしそんな低い評価をことごとく覆し、今年で23歳という若さでプロ野球を代表する投手にまで成長したことは見事というほかない。わずかなスタンドしかない宮崎の地方球場でその才能の片鱗を見せてから6年。山本の現在のピッチングを見る度に、若者の持つ大きな可能性を感じずにはいられない」
西尾さんですら、その後の日本球界、そしてメジャーでの活躍を予想できていたのだろうか。プロスカウトが使う "ポテンシャル" という言葉が示すもののひとつ、体格が大柄かどうか。ジャンボさんも男子は体が... とおっしゃっておられた。大柄な選手に囲まれた中で活躍する山本投手の姿はジュニアたちに可能性と夢を与えてくれる。
*1 "ソフトバンクの若き左腕・前田悠伍はなぜ一気に覚醒したのか――“エース候補”の現在地," GOETHE, 2026.7.2.
*2 "オリックス・山本由伸が才能の片鱗を見せた高2の秋季県大会【スターたちの夜明け前】," GOETHE, 2021.4.15. 「ジュニアだと、身体のデカさで???を隠せる。誤魔化せる」と息子は指摘している。なるほどな、とは思う。デカい方が有利なのはなんとなく頷ける。ただデカさに小さい頃から頼り過ぎてしまうと磨くべきものが置き去りになる、という意味。なるほど。息子はデカさを伸ばそうとしている気配があるが、上を目指しているのに矛盾していないだろうか。松山英樹プロが小学生時代は周りより小さかったという話を思い出してしまう。