2025.9.11
"振れる道具"
2025.9.11
"振れる道具"
(初代、ドライバー)
先週末に開催されたロピア・フジサンケイクラシック。雨天中止明け後の中継(フジテレビ)*1。8番ホールで蟬川泰果プロが爽快なティーショットを放ったあとCMが挟まれ、その流れで解説席では飛距離の話になる。戸張捷さんが丸山茂樹プロに対して、「今のプロの飛距離っていうのはこうやって見るとすごいですね」と投げかける。それを受けて丸山プロは「世界に行っても自分たちも飛ぶなと思う選手もいる」と説明しながら、その背景としてトレーニングの進化を踏まえつつ、ジュニアと道具に焦点を合わせて次のようにスパッと語っておられる。
「あと、やっぱり子供の頃から、こうしっかりと振れる道具を持って育ってきているので、やっぱり振れることが体に染み付いていますよね」
ここでいう「振れる道具」とは何か。私の勝手な解釈によると、大人用の重たいクラブではなくて軽い大人用かジュニア用のクラブのことかと思います。昨年、同様のことをさらに詳しくご本人がおっしゃっておられました。
レディース用に代表される軽いヘッドに軽いシャフトという組み合わせは昔からありました。最近では、超軽量なシャフトが技術革新のおかけで我々でも手に入るように。ただ、シャフトを軽くしてもヘッドがそれなりに重い。身体に合わせてシャフトを短くしてグリップも考えてバランスを整えたとしても、成長著しい身体と道具との関係性はどうなのかなと。バランスや気持ち良さというよりも、総重量。
加えて、最初に手にしたクラブがとても大事なのかなと思います。本能で振り回した最初のクラブ。それが振り切れるクラブなのかどうか。文字通りワンスイング目。重たい and/or 長いと、振り切れない。それが慣れという名のもと身体に染み込んでいく。
何度もここで取り上げてきました。ジュニアクラブを間接的に薦められおられる松山英樹プロ。前に紹介した動画において、ご自身はよちよち歩きの頃に大人用のクラブらしきものを振り回している。1,2歳の頃。で、今のご活躍。ヘッドが重かろうが、シャフトが長かろう硬かろうが、全然問題ない。
ただ、ハエが止まるような遅いスイングで毎日何百回と振り、ラウンドでも振り、試合でも振っていたら、併用してスピードトレーニングとして特性の異なる棒を振っていても量的にそれが超えていないとハンドスピードを上げて身体に染み込ませるのには限界があるのではと。仮にそれを満たしたとしても、現場で振り切れなくなってしまいそう。成長してから振れるようになったとしても身体に蓄積されたものが邪魔をして、数字的には早く振れても安定しない。球が散る。そしてスピードが落とされる。これはジュニア指導者向けのTPIワークショップの質疑応答でよく出てくるもの。力まない早いスピードで球が散らないスイング。スピード自体は大きくなってからそれなりに出る、トレーニングで。でも現場で安定したスイングができるかどうかはまた別の話。
今日の運動教室では久々に縄跳びを "飛んだ"。普段から親子で縄跳びを愛用しているけど、飛ばずに振るだけ。スピード強化&リズム養成のため。柔らかいものを早く振る&ゆったり振ること。前回の投稿のテーマに関連して、身体への負担は極力避けたい。その投稿に関して、息子の1つ下の世代のジュニアさんを持つ親御さんからコメントを頂戴しました。その親御さん、アメリカで外科医をされておられる。悩みは同じようでして。ただ、そのコメントというかお教えいただいたことに触れると、身体についてちゃんと勉強していない私は恥ずかしい限り。そのひとつに、怪我せずに猛烈な量をこなして筋肉の力を抜くことを身体に覚えさせることが可能、というものがありました。K. J. Choiこと崔京周プロが、Vijay Singhプロを真似して1日1200球打って(注:フルスイング)、その力を抜くことを身につけたと。もっと勉強せねば...
なんとういう偶然か(いや、だから先ほどの解説を取り上げたのか、詳しくは注釈で)、他の中継や番組のなかでK. J. Choiの話をよくされる丸山プロ。飛距離について上述の解説の発端となった蟬川プロは、1歳の時からプラスチック製のおもちゃのクラブを振り回していた*2。息子もほぼ同じものを最初に手にし、家でも公園でも遊びまくった。インスタのプロフィール写真(パター)がそれです。アンパンマンのゴルフクラブセット。偶然か必然か。
一方、私が最初に手にしたのは元祖ダイナミックゴールド。S200。偶然 "は" 必然か。
*1 ロピア・フジサンケイクラシック, フジテレビ, 2025.9.6. 中継での解説は学びが多い。丸山プロの解説は唯一無二。トップの現場に長く身を置いておられたからこそ、そして今なおその現場と繋がりがあるからこそ、視聴者に提供できるものがあると思う。同じ日の中継のなかで、Tiger Woodsプロのライン読みについても。丸山プロによると、それは半端じゃなくすごかった。線を合わせてそれを信じる力もすごいと、Vijay Singhプロが言っていたそう。
*2 小高拓 (2022), "必需品はライダーベルトとクラブ: 蝉川泰果と父・佳明さんのゴルフ物語," ALBA NET GOLF, 2022.9.26. 「トイザらス」で購入。「プラスチックのクラブを杖替わりに立ったり、最初はそのクラブで壁をバンバン叩いていた」とお父様。壊すので何度も買い替えたそう。蟬川プロご自身曰く、「保育園の頃に普通のジュニア用クラブを振っていたのは覚えています」。要するに、プラスチックのおもちゃクラブが最初に手にしたクラブでそれを振り回す。その後、"ジュニア用クラブ" に切り替えておられる。少なくても未就学児の頃は "ジュニア用クラブ" をバンバン振り回していた。一瞬だけ血迷いましたが(14本全て大人用)、息子も同じ経路。