2025.7.11
効率的な運動の自動化を避ける
2025.7.11
効率的な運動の自動化を避ける
(60度のウェッジで)
イップスに関する数多くの本や論文に目を通した時期があります。親子でゴルフをしようとあれこれ調べていた頃に。定義が分野によって違って曖昧。ジストニアですら定義がなんとも言えず。ただ、ラベリングでしょ、と簡単に見過ごすことはできない。ゴルフで上を目指すとなると、反復練習しないなんてありえないでしょ、と当時思っていたから。
澤宮さんのご著書にもあるように、本質的な原因はメンタルではない。「イップスは心理的要因ではなく、脳の作用で起きるのである(新書p.243)」。心理的ストレスとは違う、という説明。
ただ私は脳に詳しくなく文献をあたっても理解が難しい。勉強不足で腑に落ちないところも正直多い。また機会があったら触れますが色々読んで、考えて、これまで親子が歩んできた道はイップス対策に限定すると2段階。
まず1段階目。反復練習とランダム学習、練習の組み合わせ。反復練習に内在するものが、これまで出来ていたことに攻撃を仕掛ける。その内在物を特定できないのなら(特定しても現場で打ち消す有効な&現実的な取り組みがないのなら)、反復練習とは正反対のことを日常的に組み込むのが一案として出てくる。ランダム学習、練習。この組み合わせスタイルは、おそらくイップス対策の一環ではないけどTPIがジュニアゴルファーに提示するもの。でも、脳に本質的な原因を求めるなら(一つの説)、それだと解決には至らない、と私は感じる。
で、未就学児の頃からやってきたことなのに徐々に希薄になりつつあったけど、2段階目。運動の自動化に至るプロセスにおいて(運動の自動化を目指さないとまでの決意はできず)、絶対に外せない地味練メニュー以外は、基本、自由に。ラウンドで多様なライから、多様なシュチュエーションからスイングを重ねる。2度と同じ状況はないという状況・文脈設定。同じ動作を続けることは避ける。とりわけ幼少期、低年齢期における同じ動作の繰り返しは運動の自動化を効率的に進めるのにはベストであっても、おそらく後年(累積練習量がある時点に至った時)になって失うものがデカすぎる。今まで普通に出来ていたことができなくなる。そして現時点でさえも失うもの、削られるものがある。そのひとつが身体の調整能力。この能力が低いと後々、身体の成長に伴うスイングの変化(or スイングの見た目上は同じでも意識の変化)に対応しづらくなる。
それって結局、ランダム学習じゃんと思うわけですが、同じような動作を違う文脈で行なっている場合もある、ある動作が何らかの動作をいくつか挟みつつ繰り返されるとでも言いましょうか、私的にはランダムまではいっていないという認識。
これをランダム学習とするならばそれが9割、反復学習っぽい練習が1割。後者については地味練。そうであっても同じ動作を続けることは "可能な限り" 避ける。パッティングも。というかパッティングこそ、イップスの事前対策が求められそう。歳を重ねるごとにこの比率が徐々に逆転していくのが理想なのか、このアンバランスを維持するのが理想なのか… はたまたランダム学習のみに特化すべきか。
膨大な練習量で反復練習9割だったら、ジュニアの試合でスコアは出まくるはず。うちはジュニアの試合なんて... というわけではない。親子で勝ちたい気持ちが強い。あとはないかもしれないから。練習ラウンドは良かったのに本番でさ… という思考は2年前の世界ジュニアで生じて、反省。その後は「今日はパターが入らなくて…」「今日は調子が…」と息子の口から出たことは一度もありません。これは運動の自動化とは違う話なのでイップス云々とは関係ない。でも混同しやすい。一般的には、練習のしすぎで運動プログラムが崩壊する、という意味でのイップス。練習では出来るのに試合で、というのは昨日の投稿で触れた卓球選手の話。ストレス? メンタル? それとは違う。まだジュニア低年齢期だとそもそも累積練習量がある点を超えていない。ゆえにイップスじゃない。練習のしすぎで、というよりも練習が足りなすぎて本番でミスがでる。でもその練習が運動の自動化に向けた単なる反復練習だと後々のイップス発症率を高めているとも受け取れる。
反復練習は楽しくないよ、というのがこれまでの息子の本音かな。反復練習はつまらない。脳が活性化しない。ラウンドが楽しい。反復練習のしすぎで(or 反復練習の工夫のなさで)、失うものがデカすぎる。曖昧なイップスの定義にほぼ共通して見られる運動プログラムの崩壊は、いわゆるイップスという言葉が与えられなくても、ゴルフをしていれば付きまとうもの。程度の差はあれ。イップスなんて関係ないと考えるのか、そこまでいかなくても似たようなことあるよね、ゴルフはミスを減らすスポーツだからと考えるならば(私はそうは思わないけれど)、日頃の意識と具体策の実行が大事になるのかなと思います。
愛聴しているYouTubeチャネルで澤宮さんの『イップス』が取り上げられていて、再読しようと新書版を買って読んで改めて自問自答しました。そんなこともあって初心にかえり、そしてCollin Morikawaプロを真似て、今週は平日すべてコースに出ました。昨日のラウンドで父の疲れがピークに達しましたので、ミニコースへ。4年前の夏に一度訪れたことのある、ユニオンゴルフクラブ。最長60ヤードほど。YouTubeチャネル;しだるTVでボーケイSM8の撮影場所として登場し、それを見て息子が4歳の時に行きました。その日は暑過ぎて真っ昼間だったので誰もいなかった記憶があります。氷を巻いてラウンド。
あれから4年。訪れた時間帯は空いていて、思う存分、ランダム学習してきました。マットだけでなく、グリーン周りの芝からたくさん。久々の涼しさのあまり、油断して回りまくってピークを遥かに超えてしまった。週末は会長のところで過ごして、来週はコースに出るのを減らそうかな。ランダム学習(厳密にはランダムっぽい練習)は、楽しさを温存しつつコース以外でも実現可能だと思うので。
(2021年8月、同じ3番ホール、フェアウェイウッド)