2025.2.27
上を目指すなら...
2025.2.27
上を目指すなら...
(ゴルフのためじゃない)
"ここがヘンだよ! 日本のゴルフ界!" *1
トシ平田プロ、三觜喜一プロ、小暮博則プロ。お三方の対話で出てくる言葉を意図的に列挙してみます。ゴルフ一辺倒、躍起になる親、親からのプレッシャー、モンスターペアレント、親に説教、親の錯覚、などなど。頭が痛いです...
この動画に触れた当時、三觜喜一プロが指摘する "隠れ分離症" について特に衝撃を受け、始めた当初からゴルフライフに活かし続けてきました。親と子供のモチベーションを合わせていくことや、学校とゴルフの両立など、その他、三觜プロのお話は具体的かつ忖度なく、ジュニアゴルファーの親として学びの宝庫です。
その対話の中で、なぜ日本のゴルフファー(ジュニア)は歳を重ねていくとアメリカのゴルファーに負けてしまうのか、というテーマがあります。試合結果の逆転現象。特に男子について。
なぜか。そのひとつは、アメリカの子たちは他のスポーツにも取り組みアスリートとして育ってきたから。日本のジュニアは小さい頃から球を打ちすぎだと。しかもマットの上で。試合も多すぎる。もうスタートから違う。この点はジャンボ尾崎プロも指摘されておられました。
この鼎談が学びの宝庫であることは微塵の疑いもありません。それからだいぶ時間が経過したので当時と変わらない部分はありつつも(大半)、今とはちょっと違うなと感じるところがあります。今は日本でも一見ゴルフに特化していそうでも同じぐらいの力感で他のスポーツに取り組まれているジュニアさんがいる。一方で、IMG世界ジュニアやUSkids世界大会の息子と同世代で上位に入っているアメリカの子たちのほとんどが他のスポーツをしながらもそれより多くの時間をゴルフに割いている。そのアメリカでゴルフの早期教育化が徐々に進んでいることを現地の親御さんから教えてもらいましたし、そうしたスタイルを経てきた若手スターが台頭している。
その更なる兆候は肌で感じておりまして、息子の世代で世界ジュニア Under 6は最後になってしまいましたが、それ以前とは異なりこの最低年齢カテゴリー(男子)で欧米勢にアジア勢は軒並み勝てず... 道具に頼らないと飛距離で完全に勝てない世界。1位のイギリスの子、2位と3位のアメリカの子も頭抜けた身体能力をもったアスリート。でも他のスポーツをガチでされながらゴルフに専念されている。当然のことながら数多く球を打っていて、しかも芝から。飛ぶだけじゃない。パパたちも身長190センチちかく。最強、6歳の時点で...
それに、松山英樹プロはジュニアのかなり早い段階からゴルフ専念型では、との印象もありますし、 同じくメジャーチャンピョンの笹生優花プロもトレーニングで鍛えながら小学生の時点でゴルフに専念されておられる。動画のなかでプロがおっしゃっている、レアなケースに当たるのでしょうかね。
鼎談で出てくる、ジュニア後期になって突然現れるジュニア。あれ誰と。
その子たちがプロを目指していたのであれば、どれだけプロのなかでトップに上り詰めたのか、世界で通用するプロという視点で深めていくならば、色々検討すべきことがありそうです。プロになるのと、さらにその世界で上に行くのでは大きな差があると思うので。ゴルフを始めたのが遅いとか、ボールを沢山打ち始めたのが遅いとかではなく、試合にただ参加していなかっただけ? 試合に出ても結果を追い求めることを最優先しなかったから小学生時代は上位にいなかった?
日米問わず早い段階からゴルフに専念されているのが現代的な流れじゃないかなと。実態として表現されずとも、少なくても親の心の中ではゴルフに配分されている。日本とそんなに変わらない感じが、というより、さらにゴルフ環境が良さそうで専念されているアメリカのジュニアさんの一部。
お三方の対話。ふむふむと頷き学べるのですが、聞いていて気分があまりよくありません。私が説教されているのでw 思い当たる節が沢山あって頭が痛くなります。でもちょっと引いて考えてみると、野球もサッカーも、音楽もアートも、受験すらも、上を目指しているのであればゴルフ特有の話でない気がします。ジュニア低年齢期に試合でいくら勝ってもさ… との話は別のところでもよく聞くわけですが、うちのようにプロを目指していないのなら(いや、もっと上手くなりたいと思うなら)、その試合に勝とうと切磋琢磨して日々を過ごすとか、試合自体が楽しいという側面もあるわけで、その過程に充実感がある。試合は交流の場でもある。
プロを目指していてもさらにその上をと考えている親御さんやご本人からしたら覚悟を決めて取り組んでおられるわけで。いきなりトッププロの話になってしまいますが、Scottie Schefflerプロだって、よりよいゴルフ環境を求めて幼き頃、アメリカ国内で移住されていた*2。そのとき、8歳。クラブに入会するために両親はお金を借りていたそうです。ご本人は、「これが親の不思議なところさ(原文、crazy things)。両親は私に長い間そのことを話さず、大きな犠牲を払ってくれていたんだ。信じられないほどの決断をしてくれたおかげで、そこで子供時代を過ごすことができたのさ」と過去を振り返っておられます。
ゴルフを愛しているプロの皆さんから親がそう見られてしまうことに、当事者として反省しつつも悲しさを少し感じます。練習場やゴルフ場でもアマチュアゴルファーからそうした目線を少なからず感じますので、正直、窮屈です。私が息子を介してこうして日々のゴルフライフを語る背景のひとつにこうした窮屈さがあるわけですが、まだその解消に立ち向かうのは先のことかな。
野球やサッカーとは異なり、常に親以外の大人たちに囲まれたゴルフ環境。低年齢時はキャディとして試合にも参加しますので熱が入ってしまうのは仕方のない側面もあるんじゃないでしょうか。三觜プロではないですが「消えていく」という言葉は使って欲しくない。私はジュニアゴルファーの親目線なので客観的に見れないところがあります。違うよ、とどうしても思いたくなってしまう。ただ、機会があるごとに見返しております。戒めのためにも。
日本のその現場でジュニアを見続けてきた三觜プロと小暮プロのお話で、動画配信当時から私は強く影響を受けておりまして、それだけじゃないですが今に至るまで多様なスポーツに息子は触れ合ってきました。本日は学校の放課後イベントで他校とバスケの試合。ノーゴルフデー。今週は学校が放課後イベントとして他校試合を設定したのは、タグラグビー、スイミング、そして今日のバスケ。試合ではありませんが明日は息子の好きなバレエの日。もちろんノーゴルフデー。
今週も平日ラウンドが少なすぎる。身体を考慮しての球数制限どころかそれを遥かに下回る球数。少なすぎて試合が不安だな、と思ったり。やっぱりゴルフ中心の見方になってしまいます。
親の? 反省。
*1 "【レッスンプロ達が訴える日本ゴルフ界の現状】ここがヘンだよ! 日本のゴルフ界! 第1話," YouTube; ALBA TV, 2018.4.20.
*2 "Scottie Scheffler’s road to his first PGA Tour win," GolfDigest+,75, 2021.9.26. そのクラブでは周りにプロがいる状況。8歳の時点でプロに憧れ、そうなりたいと思っていた。現在に至るまで指導を仰ぐコーチもそこで出会った、というか両親が先回りして考えておられた。3人の姉がいてお母様が仕事をされていたので、息子さんを安心して預けられる場所を探してでの移住だった。「高校では、バスケットボールとゴルフの2つに絞ったんだ。人生においてゴルフがどれほど好きかは分かっていた。すべての季節で、常にプレーしたいと思う唯一のスポーツだったから」とScottie Schefflerプロ。かなり早い段階で心のなかではすでに決めており、親御さんはゴルフ環境を常に整え続けていた、バスケとは違って。その他のスポーツはゴルフをするための身体づくりという側面が明確かと。