2025.12.12
本能と形
2025.12.12
本能と形
(Aコース 3番ホール)
ゴルフを親子で始めるにあたり、欧米で出版された昔(20世紀後半)の文献資料をあたっていて、形は気にするな or どうでもいい、本能に従え、という言葉に触れました。ここでの私の結論がそれを少し否定的に捉えており、ピンポイントで名指しすることになるし、加えて私のこの書き物は研究論文ではないので引用は差し控えます。シニアになっても当て感(インパクトの質)さえ養えていれば良い球が出るし飛距離が落ちてもスコアはまとまる、形なんて?という考え。ごくごく少数で、アメリカで有名なプロを育てたコーチでもおっしゃておられる方がいらっしゃいました。
プロはジュニア時代から本能のままゴルフしてきた。細かいことを考えずに自分に合ったスイングを身につけてきたのだ。大人たちは考えすぎ。ちっちゃい子を見てみろ、と。
今でも、孫引きの孫引きだなと感じつつ、そのようなニュアンスでおっしゃる方々が少数派としていらっしゃいます。ただ、Tiger Woodsプロのジュニア時代。本能のまま、ではない。お父様のご著者、その他関連文献を読むと、グリップからフィニッシュまで形に相当こだわっているし、その時々で色々修正している。一部は本能に従わないところも。ご本人は気持ち悪いけど直すとか。トップの位置も変えている。その当時のコーチが抱く理想の形に従って。ジュニア時代から親子&コーチで形にこだわっておられる。さらに、ジュニア卒業後にはButch Harmonプロにハーフウェイバックの位置を直されている。嫌な動作を防ぐためにも、ある場所の形、ポジションにこだわる。その理想は、コーチが「これだ」と思った形、ポジション、スタイル。その内容自体はアマに対する指導と基本同じ。それがそのコーチの理想であって、身体特性に基づいて個々のゴルファーにアレンジはするものの、理想の形はある。Tiger Woodsプロもアマも変わらない。Tiger Woodsプロの話に限らず、そんなことは分かり切った上での上述の考えだと思われますが、ゴルフを始める前の私は混乱していた。今もそんなに変わらないかもしれないけど。
そしてなにより、迷いながらもゴルフをちゃんと始めた3歳の息子を見ていて(初レンジの日)、形なんてどうでもいい、という考えはなんか違うなと一瞬で思いました。私のように大人から始めたゴルファーとそんなに変わらないなと。私も同時に始めたのでよく分かる。道具を操るのは難しい。枝を振るようには振れない。ハンマーを叩くようにも振れない。叩けない。それに、ボールを当てようとして癖がつく。良い癖ならいいですけど。その幼少期の癖が吉と出るか凶と出るかは運任せ。名プレイヤーは形が個性的という話とは関係ない or 薄い。たまたまの船に可愛い我が息子を乗せることはできない。素振りをしまくって上手くなるとは当時の私には思えなかった。
形にこだわってもダメだ、感覚が潰されて、のちのち高次元で精度や再現性が達成できないなと当時、混乱しながらも考えるようになりました。アメリカでは少数派の考えだと感じて、鉱脈を見つけた気分になってしまった。これって、あまり言われていないことだよな、みんな知らないんじゃない、ラッキーと。言葉を変えながら今でも受け継がれているので鉱脈かどうか怪しいですけど。
名プレイヤーの名を挙げて、アドレス、グリップ、バックスイング、トップ、フィニッシュなど、多様じゃんと。確かに説得力がある。アマとしては救われそう。本人の感覚に向き合うのだと。道具の特性に任せるのだと。腕利のゴルファーに共通するものはこれだけだと。考えがシンプルになって取り組むことも減り、救われるゴルファーもいるでしょう。ただそれはかなりの球を打ってきてかなりのレベルに達したプロゴルファーや頭でっかちになったアマ(ex. 私)には方針として合いそうですけど、ジュニアや始めたてのゴルファーは違うんじゃないかなと感じ始める。なにより、運任せにせず、かなり上を目指す低年齢ジュニアにとっても。
形なんかにこだわるな。これは前提、仮定の置き方次第でだいぶ変わるのかなと思います。名プレイヤーであっても、幼少期に、あるいは始めた時に、アドレス、グリップ、バックスイング、トップ、フィニッシュなど、教科書的に教えたら(=スイング・形に関して長い年月をかけて蓄積された膨大な知見から導き出されたものを享受すること)、もっとインパクトもスコアも良くなったんじゃないかなと。Tiger Woodsプロはその当時、教科書的に良いとされていたことを身につけようとしていた節が確実にあるのです。ただ、証明のしようがない。
で、もちろんこれにも反論がありうる。Tiger Woodsプロが教科書的な理想の形つくろうとはせずに、大人があれこれ言わずに本能のままにインパクトとターゲットだけを意識して取り組んできたら、もっとすごい結果を出していたのではないかと。こちらも、証明のしようがありません。ちなみに、ターゲット意識はジュニア時代から明確に持ってコーチングされてきたようです(後述する両立案?)。
欧米の方がゴルフの歴史が長い。日本がダメというわけでは絶対ないけれど、学ぶ姿勢は必要であろう。仮に少数派であっても。その原点の背景を。
以上は、ゴルフ歴も浅く、現場でプライヤーを見てきた数が少ない私の迷いの一端で、これすら昔から特にジュニアゴルファーの親御さんたちやコーチが考えてきたことだと感じます。で、なんの目新しさもありませんが、私個人の結論は、両方やる。本能に任せ、きっちり形にもこだわる。中途半端になりそうですけど。
始める前は、3、4歳児がコースでスイングを考えている余裕はおそらくない、と確信していた。本能。一方、スタジオレッスンやごく僅かなレンジの時間において、先日たちに敬意を表して形も意識する。言語も映像にも触れる。
実際は、コースで息子のスイング作りをしてしまう、わたくし父の姿。本格的に始めてみると、コースで形づくりをしない、ということはできなかった。コースでスイングについて話をするのは最小限にとどめ(父は絶対に教えない、あくまでもやり取り)、地味練で "基礎基本" に取り組んできたことをコースではなるべく意識せずに、ボールを運ぶというターゲット意識に焦点を合わせてゴルフをしてきたつもり。ただ年月が重ねるにつれ、コースにおいて形づくりに意識が向いてしまう時間が増えてきたように感じる。本能に比重を置いてきたのでコースで球を打ってきたのに。ターゲット意識を持ってとにかく球を運ぶ。球数の9割はコースで。それはできていた。今は7,8割。でも、いつの日からか、コースでスイングを作るんだ、となってしまった。形にもこだわりを持ち始めるように。
今日は、先日のダレを反省して、東宝調布の年内最終ラウンドをしようかと考えていましたが、また言い合いになりそうなので、気分を一新、小さい頃に訪れた江戸川ラインゴルフ ショートコースで14時からの回り放題でラウンドしてきました。対岸の江戸川ラインゴルフ 松戸コースは昨年行ったけど、こちらのショートコースはかなり久々。
強風でボールのコントロールが難しかった。マッチプレー。父は完敗。河川敷はゴルファーの引き出しを増やす。ピン位置で止まらないとみるや、低い球で転がす。グリーンが硬く、フェアウェイも枯れ芝や硬さでアプローチが難しい。父との差が開き余裕が出てきた息子は、60度ウェッジで通用しないとみるや、グリーン周りでパッティングを試している。別人。
完全に、息子は自らのスイング、形に意識を向けていない。風を読み、グリーンの形状と周りに目をやり、おそらく弾道をイメージしてボールを叩いている。本能。スイングがすこぶる良い。
これって冒頭で触れた、あの少数派の考えだ、と思い出したわけです。このことだよな、と。と同時に、地味練やスタジオでの "基礎基本" の取り組み。日頃の、少々形づくりに傾きつつある親子ラウンド。それがあっての今日の結果だと感じる。
本能を土台にその上に形。形によって磨かれた本能。その両方を垣間見た河川敷の薄暮ラウンドでした。形に関してこれまで膨大な知見が蓄積されてきた。先人たちに敬意を表したい。
(Aコース 3番ホール、2021.6.30)