2024.8.9
男子7歳時点で異なる点 4
2024.8.9
男子7歳時点で異なる点 4
(右車線は慣れないので)
4回目の時差投稿です。試合で思うような結果が得られなかった時にどう過ごすのか。今回は観光も兼ねて、プレー翌日にPinehurst No.2へ見学に行きました。近くには広大なパッティンググリーンがありまして、無料で18ホールのパターコースを楽しめます。その名はThistle Dhu。本コースやクラブハウスを含めてこういう場所をジュニアイベントに長期間開放する心意気に驚きました。地元の人やメンバーさんらしき人たちがベンチに座って子どもたちの姿を優雅に眺めておりました。
優勝を目指した今大会でした。息子は「悔しくない。楽しめたから」「勝つだけがすべてじゃない」などと大人の発言をしながらも、私の目には悔しかった様子に映ります。でもそこは私の影響を受けてか、PGAツアーで33年ぶりのアマチュア優勝を飾ったNick Dunlapプロの名を持ちだして、「ダンラップだってBoy7で優勝してないじゃん」と。全米ジュニアでも全米アマでも優勝経験のあるNick Dunlapプロはかつて、U.S. Kids Golf World Championshipに参加されておりました。結果はBoy7(2011年)で9位、翌年のBoy8(2012年)ではT21位*1。こんな凄いゴルファーだとジュニア時代は負けなしの強さを誇っていたのではないかと思っておりましたがそうではありません。
そういう前向きな考えも必要かなと思います、特に負けた直後は。僕はダメだ、となるのが一番親としては避けたいわけでして。Pinehurstを訪れると、偶然にも今回優勝を飾ったジュニアさんとその親御さんと出くわしまして(というか私たちから声をかけて)、ロレックスの有名な時計の下で記念写真をとってもらいました。彼女の手には大きなトロフィー。息子は何も手にするものがないので、持参したパターを持って写真に収まることに。地元米国勢が各州から押し寄せる本大会で、しかも昔と比べて層が厚くなり、さらにそのなかで昨年に引き続き優勝なんて、私的にはあり得ません。本大会で勝つことがいかに難しいのか、今回身をもって知りました。女子の場合は本大会で優勝してその後、米国LPGAで活躍しているプロが多いです。例えば、若手のAlexa Panoプロ、昨年全米女子オープンを制したAllisen Corpuzプロ、11勝のLexi Thompsonプロなど。
我が息子に話しを戻すと、また負け惜しみのような感じになってしまいますけども、訪れたパターコースはBoy7の会場となったMid Pines Golf Courseのグリーンとは特性がかなり異なります。どちらかというと普段私たち親子がプレーしているゴルフ場に近いグリーンです。スピードもほどよくあり、くねっていている。案の定、パターコースではピンに寄りまくる。とんでもなく難しいラインのホールは別にして(例えば12番ホール)、サービスホール以外も、楽々2パット*2。これが試合会場のグリーンだったらなぁ、と。Putter Boyが見守るなかで楽しめた様子です。愛用のNIKEのスニーカーを履いて。私もパターを持ってくれば良かった。
このパターコースにBoy7に参加していたジュニアさんが何人かおりまして、ラインも合わせずワイワイ楽しくボールを転がしていました。コブがあるホールでは直接穴を狙ったり、コブを利用して狙ったり、とにかく遊んでいる。多くのBoy7が手にしているのは、試合会場でも何度も見かけたマレット型パター。ピン型が一番多く、USkidsのパターを使っている子もいましたけども、意外にもマレットが多いのです(Charlie Woodsさんもマレット型を使用されていた時期がありました)。パパたちに聞くと、寛容性の高い道具に早くから慣れるという意図があるそうです。「わざわざ難しい道具を使う必要はないさ」。
これは我が息子とは異なり、パターという道具とパッティング技量向上に対する私の考え方とは180度違います。フィードバックがたくさんあるパターが技量を磨く*3。またまた試合の負け惜しみになってしまいますが、クラシックなL字はタッチが出るとはいえ難しすぎます。L字マレットも持参したものの、普段打ち慣れていないパターを使うのは物理的に寛容性が高いと思っていても使いづらい。普段の練習はクラシックなL字、L字マレットを試合だけ投入することに対して「それはズルだよ。使うならいつも使わなきゃ」と否定的です。クラシックなL字はパッティングが上手い人が使うという意識が息子にありまして、パッティングに対して自信を与えてくれる道具でもあります。
パッティング技術それ自体、米国勢との差はないと思います。試合で上位に入られたお兄さんお姉さんも、こちらのThistle Dhuで沢山観察しましたが(トロフィーを持参しているのですぐに分かります)、すごい!という印象は受けませんでした。グリーン読みも含めて。ただ若干、ストロークが機械的ではないというか、ストロークごとに揺らぎがある印象を受けました。最近はパッティングのデータ解析に基づいたコーチングが主流となっているので米国のジュニアもてっきり取り入れているのだろうと思っておりました。でも話を聞いた親御さんたちは、「そんなのまだ早いでしょ」と取り入れていない様子でした*4。「感覚を殺してしまうのでは」というご意見も。
男子7,8歳に限った話にはなりますが、米国勢と異なるのはスピードと絶対的距離感。前者については、体格差というよりも道具の影響が大(ゴルフ始めた頃から今に至るまでに手にしたクラブ)。後者については、計測器に基づた反復練習ではなく遊びを通じて得られたもの。
米国勢と比べて、息子の方が上じゃんと感じた部分と、磨いてきたはずなのにこの時点で差があるなと感じた部分。スピードと絶対的距離感。細かなところを言うと、他にも差を感じなかったところと差を感じたところがあります。息子と米国勢。アジア勢と米国勢。連続投稿が長くなり日常の発信ができなくなるので、ご関心ありましたらお声がけください。
*1 World Championship 2011; Results, U.S. Kids Golf. Nick DunlapプロはBoy7で9位だったので息子と比べると遥かに上位にいるわけですが、優勝してないじゃん、というのは息子だけでなく私にも希望を与えてくれます。プロを目指すかどうかは別として、もっと上にいけるさ、と思えますので。
*2 どんな感じかお見せします。
まずは最も簡単なサービスホールの9番。でも見た目とは違って巧妙なラインが... 入れて欲しかった。後組の子たちが息子のラインを見ていますが、息子には前組のパッティングを見せずに回りました。技量も試せず、面白さが半減するので。
一方、最も難しいであろう12番。ピン後ろの傾斜で戻さないと、コロっとは入らないでしょう。初見でおおよそのベストラインを読んだ息子。
そして、あがり3ホール(Putter Boyがいるのでおまけに手前2ホールを追加、5ホールを続けて)。毎日こんな場所で遊んでたら極められそうです。
*3 本ウェブサイトでも賢人の考えに触れながら、道具が技量向上に対して大きな影響を与えることを記しました。道具へのこだわり、という点からいくと、私なんかはパターは、より品質が高いもの(大人用で高価なもの)をと考えがちなのですが、パターもジュニア用をそのまま使う子がマレット型と同様、多かったのに驚かされました。ヘッドの重さ、長さもグリップもよく考えられているんですよね、実は。ジュニア用でL字があればなぁ... エースを決めて、あとは特性の異なる複数のパターで練習するのも良さそうだなと思いました。慣れを壊すという意味で。
*4 ちゃんとデータをとったわけではありませんが、計測器はアジア勢の方が使っている印象です。この印象に基づいた話なので意味がないですけど、計測器をジュニア低年齢期から使用することで世界トップレベルのプロ世界の構図(特に男子)が変わるのかも、と期待しつつも、私ごときで恐縮ですが、これには懐疑的です。ジュニア低年齢期に磨くべきものはそこではないと思うのです。後々差が出ないためにもスピード重視。そして遊びを通じて得られた絶対的距離感。そこにある程度のスイングが完成した段階で、計測器を用いた反復練習が加わって数ヤードの違いを打ち分ける技術が重ねられていく。息子ぐらいの年齢だと、マットからじゃなくて、いろんなライから多様な弾道を連続して打てる遊び場が必要です。もちろん計測器は他の面でゴルファーをサポートしてくれますので私たちも使いますが、大事なのは距離計測ではありません。スイング完成後に距離感、という点は、松山英樹プロのお話が大いに参考になります(「松山英樹プロが語る距離感を作る基本【松山英樹 密着#3】」, YouTube; ALBA TV, 2024.8.7)。「スイングが出来ちゃったら、後は距離感だけなんで(開始12分あたりから)」と松山英樹プロ。当たり前ですけど、すごい技術です。