2024.2.10
超一流プロによる子供のクラブ選び
2024.2.10
超一流プロによる子供のクラブ選び
(美しすぎるアイアン)
しつこいですが道具選びについて。私なりに未就学児や小学低学年生についてはクラブ選びの方向性がある程度見えてきました。百歩譲ってウッドは大人用の軽めのヘッドを使うとしても、アイアンはやはり削ったとしても重いし、ロフトに無理が出てくる。本人が感じる構えやすさや見た目の美しさ、打感などはさておき、やはりジュニアクラブ。じゃあ、小学高学年、中学生前後はどうすれば良いのかと。一般的には大人のクラブを流用している。
超一流のプロゴルファーが自身の子供にゴルフをさせる時に選ぶクラブ。そこに着目しても学びがあるのではないかと思って、かつて色々と調べておりました。例えば、数年前からゴルフ界を賑わせているCharlie WoodsさんのWITB(What's In The Bag)。お父様 Tiger Woodsプロの考えがクラブ選びに反映されているはずです。
最初にWITBの詳細が公にされたのが、2020年12月PNC Championshipに出場された時です*1。Charlie Woodsさん、当時11歳。
Driver: TaylorMade SIM / Project X EvenFlow Riptide CB
3-wood: TaylorMade SIM Max
5-wood: TaylorMade SIM Max
Irons: TaylorMade P7MC (3-PW) / Fujikura Vista Pro
Wedges: TaylorMade MG2 (56, 60 degrees) / Fujikura Vista Pro
Putter: TaylorMade Spider X (Copper) / Ping PP58 (Blackout)
Grips: Golf Pride Tour Velvet
Ball: Bridgestone
すべてクラブは大人用。アイアンは私も試打してその難しさに圧倒されたマッスルキャビティで、しかも3番アイアンから入れている。シャフトはカーボン。パターはマレットです。ジュニアからマレット型を使われているのには驚きました。アイアンの番手以外は一般的なジュニアのセッティングかと思います。
お次は、特徴のある2022年12月PNC Championshipに出場された際のWITB*2。Charlie Woodsさん、当時13歳です。
Driver: TaylorMade SIM2
Fairway wood: TaylorMade STEALTH PLUS, TaylorMadeSIM
Irons: TaylorMade P7CW
Wedges:TaylorMade MG2
Putter: Scotty Cameron GSS PROTOTYPE
パターはアンサー型(ニューポート型)。ここでは特にアイアンに着目していただきたい。P7CW。CW、そうですCharlie Woodsさんの頭文字をとった名称。P7TW(Tiger Woodsプロ仕様)かそれに類するヘッドをくり抜いて軽くした特別仕様だそうです。記事に写真がありますので確認してみてください。2箇所くっきりと穴が空いています。大きく深い穴で、相当軽くなっていそうです。長さはピッタリ。もちろんウッドもジャストフィット。同記事のなかでJack Nicklausプロのご発言が掲載されています。
「Charlieはゴルフを始めて、とても良いスイングをするようになった。“寛容性のあるゴルフクラブではなくブレードアイアンを息子に持たせることでゴルフのやり方を学ぶことができる”とTigerは言っている」
ブレードとはいっても重量をかなり軽くしている。なぜそうするのか。お父様ご本人の説明はありません。軽くしているという事実。ブレードの良さと、ヘッド重量を軽くした際のメリットを享受できるのが、おそらくP7CW。重量以外の目的であればP7MCそのまま使用されるかと。MCは重かったのだと推察されます。くり抜いて球が格段に上がりやすくなるとは思えないし、そもそもJack Nicklausプロのご発言があります。
13歳、しかも見るからに鍛え上げた身体。そうであってもアイアンのヘッドは軽くされている。私の息子は6歳。そのまま718AP2、718CB、TC101を使うのか。マッスルバック、例えばTB-ZEROを軽くして使うのかと。あり得ません。じゃあ、息子が小学高学年、中学生になったらどうなのか。その時の息子の身体と要相談ということになるのでしょうけども。
でも今でさえ息子は美しいクラブが好きなようで... マッスルバックは削りやすそうです。私の息子はRinto Otakeですので、その頭文字をとってP7ROという名のアイアンを息子に用意してあげたいのですが、私にはそんなことできません。マッスルバックのヘッドを軽くするのにもTaylorMadeさんの蓄積された知見がふんだんに活かされていそうです。単に、くり抜けば良いということではなく。
* “Charlie Woods WITB,” GolfWRX, 2020.12.17.
* “Charlie Woods What's In the Bag?,” Golf Monthly, 2022.12.7. 原文はこちら。“Charlie is starting to play golf, and he’s getting a really good swing,” Nicklaus said. “[Tiger] says, I’ve got blades in his hands so he learns how to play golf instead of learning with all those forgiving golf clubs.” ウェッジにはくり抜きがありません。重たくないのですかね。それとも重いヘッドを使う特別な理由があるのでしょうか。ただ2023年、14歳になられた最新のセッティングでは、写真を見る限り、P7TW?をそのまま使用されているようです。くり抜きがありません。こちらにアイアンの写真があります。“Tiger & Charlie Woods: What’s in the bag?” ALL SQUARE, 2023.12.19. 身体的に、技術的に、大人のものをそのまま使用しても問題なくなったのか、それともP7CWに違和感があったのかは分かりません。あるいは、外見上では判別できない軽くする工夫が施されているのか。ただ少なくても息子さんが13歳の時にアイアンヘッドを軽くしようとしたお父様の考えがあったことには間違いない。パターはScotty Cameron Phantom X 5.5。お父様の友人のJustin Thomasプロとほぼ同じ仕様とのこと。グリップはもちろんPing PP58 (blacked-out)。ブレードを経由されて、またマレット型に。ちなみにドライバーは TaylorMadeの新作 Qi10 LS (9度)。お父様は同モデルでロフトが10.5度。息子さんの方が立っているという... ちなみにシャフトはFujikura VENTUS TR BL。シャフト重量・フレックスが6X(「親子で「PCN選手権」に出場のチャーリー・ウッズ君も、父・タイガーと同じ1Wヘッド」, ALBA.Net.GOLF, 2023.12.16)。