2024.11.19
アンダースペックという概念はゴルフで存在しうるのだろうか?
2024.11.19
アンダースペックという概念はゴルフで存在しうるのだろうか?
(見た目はハードそう)
火曜日は基本、息子だけのレンジ練習日です。なぜならジュニア割がないと打席料金が高いから。ジュニア割で打席を利用しても、なんと同伴者の私も使用可です。私も数発打ちますが、ジュニア割が適用された打席に立つと気分がすぐれません。
他の日にお世話になっている東宝調布スポーツパークでは、ラウンド前にレンジで30分ほど、ラウンドした後にはアプローチエリアで時間を過ごします。グリーンカード会員になるとラウンド費だけでなく打席料金やボール単価も安くなるので私も横で練習しています。よって、息子のスイングをずっと眺めている時間はありません。週末のラウンドレッスンでは私がプレーしないので息子を見る時間は沢山あるのですが、年上のジュニアさんのスイングばかり見ていますし、先生の指導を見て勉強しているので、正直息子に目がなかなか向きません。
今日も運動教室のあとにレンジに行きました。後ろで優雅に眺めていると、色々と発見があります。最近気になっているのがドライバーのシャフトが柔らかすぎではないかという点。USkidsのツアーシリーズよりも、打点の安定性とヘッドスピードが要求される位置付けの“エリート”。シャフトのコスメはベンタスブラックみたい。
これがツアーよりも柔らかく感じるのです。息子のスイングをみるとブヨブヨの感じ。8月のUSkids世界大会で開発者の方々と相談しました。「なんども言うけど、うまい子向けに作ってるんだ。軽硬は目先の結果はでるけど、長期的なスイング形成には良くない。柔らかいものをできるだけ早く振るんだ。軽硬はスイング棒として並行して数回振ればいい。...俺は30年近くアメリカのジュニアたちを見続けて来たんだ。スコッティ(注; Scottie Schefflerプロ)もニック(注; Nicholas Dunlapプロ)、君の息子ぐらいのときから見続けてるんだよ。道具ですべてが決まるわけでないけど、10代後半で上のレベルにいけないジュニアも膨大な数、見続けてきたんだ。...長いのは論外。重いのは避けたい。選択すべきは、できるだけ柔らかいもの。シャフトのしなりを感じながら早く振るんだ。...その子のスイングにあったシャフトを選ぶだって? ジュニアは日々成長するから難しいよね。...悪い癖がつくんじゃないかって? 道具によってスイングを覚える面があるからね。...今のトッププロたちを見てごらんよ。癖だらけだよね。それが再現性に繋がるのさ。...とにかくしなりを感じながら早く振る。これにつきるね」
メモはしておりましたが録音していたわけでないので、完璧には再現できません(もっと長いやり取りをしております、他の会場に来ていたUSkidsの方々とも)。英語のやりとりで、しかも突っ込んだ話に感じたので私の理解が及ばないところもあります。でも、そこまで言うなら従いましょう、ということで現在に至っております。この話は息子、すなわち小学校低学年のジュニアを想定してたので、ヘッドスピードがあがり、身体も大人顔負けになった頃にはまた違った論点が出てくるのかなと思います。
が、しかし。先日、ゴルフダイジェストの連載「キミこそ王子」のスペシャル記事で、武市プロがこれまで印象に残ったジュニアをあげておられました*1。女子編。そのなかのお一人のジュニアさん(当時、中学2年生)のスイングを絶賛されていて、「彼女のスウィングは軟らかいシャフトが作ったといっても過言ではないのかも」と分析されています*2。オンラインでは会員限定の記事なので、他の箇所の引用は差し控えますが、なぜ柔らかシャフトが良いのかを解説しておられます。小学3年生から現在のコーチに見てもらっていて、柔らかシャフトの採用はそのコーチによる提案だそうです。
シャフトが(も)スイングを作る。この点はUSkidsのベテラン開発者の方のご発言と共通しています。共通しているので今回取り上げたわけですが。もちろん、私が恣意的に二つの話を選んでいますので、幼少期に適正?なクラブを振ることについても触れないとフェアではありません。将来振るクラブに早く慣れるためにジュニア時代から大人用のクラブを切らずに振り回しても、それをカットして筋トレがわりに使っていたジュニア時代を過ごしても、ヘッドは大人用でシャフトを工夫して使っても、超一流プロとして活躍されているゴルファーは沢山いらっしゃるわけで。というかほぼ皆さん。松山英樹プロもおっしゃっていたように、そもそも昔はジュニアクラブが充実していませんので。「スコッティ」も「ニック」も息子の歳の頃にはそうされていたわけでして、おそらく。ベテラン開発者さんはそういう光景も見てきた上で、上記の提案をされている。とりあえず、今回は一つの見方として再確認。
適正なるものがあったとして、そこから柔らかくする。とはいっても、ブヨブヨに感じるUSkidsの“エリート”シャフト。ボールをバランス良くより遠くに飛ばす、安定させるという意味では今の息子にとってアンダースペックです。やっぱり、ブヨブヨ。シャフトのコスメがベンタスブラックみたいなので、余計にそのギャップを感じるのかもしれません。視覚効果。一方、父愛用のベンタスブルー。どう考えてもその意味でいうとアンダースペックではありません。
*1 「【キミこそ王子だSP】後藤あい、河本結、仁科優花…武市が今でも強く心に残る3選手」, my ゴルフダイジェスト, 2024.11.5. この記事で取り上げられた別のジュニアさん。実は私たち親子がホームとしているアプローチ練習場で小学生時代練習されていたそうで、勝手ながら縁を感じます。練習場の会長から、小学生時代のお姿についてこれまで沢山お話を聞いてきました。息子はまだその学年に達していないとはいえ、息子と比べると練習量&内容があまりにも違いすぎる... ゴルフへの向き合い方も圧倒的に違う。考えさせられます。息子にスイッチが入ったら真似ようかと思います。
*2 「【キミこそ王子だ】Vol.290 中学2年にして驚異の完成度! “軟らかいシャフト”が生んだ軸ブレゼロスウィング」, my ゴルフダイジェスト, 2022.12.26. 記事が掲載されてから、全国中学校ゴルフ選手権を制覇されています。こちらの動画でも、シャフトは柔らかく、という話を長年指導されてきた石井雄二プロがされておられます(「『世界大会 3位』後藤あい選手とプロコーチに、世界レベルの強さになる秘訣を聞いてみました!」, YouTube; Golf Reve, 2023.12.16.)。「まずは中学生なんで、だいぶ最近体がしっかりしてきてはいるんですけど、スイングでやっぱり無駄な崩れを起こしたくないのと、あとは体への負担を極力減らしたいということで、僕自体はジュニアのうちはオーバースペックを使うことを基本的にはちょっと嫌なので、体のことを考えて、どちらかというとアンダー側に近いスペックを作りたい。だけど、まぁそれなりにこうしっかりしていないとヘッドスピードも普通に45超えますし...」。そのあともシャフト選びのコツについて説明されています。スイングの崩れ防止と身体への負担軽減。今年はご一緒できませんでしたが、昨年はIMG世界ジュニアで時間を共にしました。誠に勝手ながら縁を感じます。