2024.8.7
男子7歳時点で異なる点 2
2024.8.7
男子7歳時点で異なる点 2
(貴重なデータ提供)
今日も時差投稿になります。アメリカでジュニアクラブが豊富に用意されていることは、以前本サイトで松山英樹プロ自らのお話しを紹介しながら共有しました。身体の成長に応じてその都度クラブを変える必要性を強調され、重たいクラブに早く慣れるという考え方もあるけどジュニアクラブを使うことを間接的に薦めておられる。松山英樹プロは子どもの頃に大人用クラブを工夫して使われていたそうですが、今は紛れもなく世界トッププロ。でも子どもの時にジュニアクラブが沢山あって選べたら良かったのに、というニュアンスを記事から私は感じ取りました。
5日間、Boy7を中心にBoy8にも参加していたほぼ全てのジュニアのスイングを見て回りました。特に芝からショット練習が出来る広大な敷地で試合2日前から息子の調整と並行して観察し続けました。それと合わせてこの場所で今回の旅の大きな目的を果たすことに。それはUSkidsのクラブ開発陣がクラブ診断をするイベントへの参加です。愛用しているクラブでのショットをトラックマンで計測。USkidsはこのようにして膨大な数のジュニアと個々人の時系列データ(毎年参加する子が多いので)を蓄積するわけです。開発過程におけるジュニア自らの試打データ、試合中や練習場でジュニアのスイングを観察して得られたデータと付き合わせながら。
我が子のスイングデータを提供する代わりに、と言ったらなんですが、計測データを踏まえて、息子が歴代Boy7全体でどの程度の位置にいるのか、詳細なデータシートをいただけました*1。その位置とは、ドライバーのスイングスピード、についてです。グラフと共に、各年齢のスピードがカテゴリーに整理されています。息子は歴代Boy7のなかで最上位カテゴリー(上位5%)でした。クラブ開発者のお一人、Josh Kinchenさんは「ヘッドスピードとハンドスピードはイコールじゃないけど、スイングスピードに関して5%どころか上位1%に入るだろう。早く振るにはどうすれば良いか、それをRくんは身体で分かっている。良い傾向だ」と*2。ただ注文もありまして、「打ち出し角が理想的ではない。カチャカチャで16度に寝かせるか、16度、17度程度のヘッドを使う必要があるだろう」。こんだけスピードが早いのに15度ではダメ。Ultralight 48で十分かも... 恐れ入ります。
私は息子がゴルフを始めるにあたってスピードこそがジュニア期に養うべき大事な特性のひとつだ、ということを直接賢人たちからも、自ら調べたアメリカのジュニアのコーチング事情からも学んでおりましたので、実践してきました。それが形として現れておりました。練習ラウンドと試合を通じて、10人の欧米勢(うち8人がアメリカ、あとイタリアとアルゼンチンの子)のジュニアとラウンドしましたが、息子がドライバーの飛距離で負けたのは、1回だけでした。息子よりも身長が高く太めの子よりもオーバードライブ。練習場でも、その他上位の子とほぼ同じか、それよりキャリーも出ていて飛んでいました。データ通り。これについては息子も私も自信を持ちました。パワーだけが全てじゃないと。一人、凄い飛ばしていた子がいましたが...
ここからは試合の負け惜しみみたいな感じになってしまいますが、ジュニア振りをさせないという範囲内で、絶対にここだけはこうした方が良いという点以外には、息子は型にはめずにゴルフをしてきました。ゴルフの技量向上においてアメリカ式が全て良いということではないですし、そのなかでも考え方は多様です。ただ王道みたいなものは存在します。また、データの蓄積においても、現在トップの世界で活躍しているゴルファーをみても、アメリカの現状から学ぶことは大いにあると思います。ゴルフに割く時間が限れたなかで、重視すべきはスピード。
再現性を高める練習は幼少期の息子にとって酷だと私自身は最初から感じていました。プロにさせるわけではないし、楽しみながら色んなことを学ぶためにゴルフをしているわけで、ゴルフの技量をあげる点においても可能な限り本人の自由な領域を大切に確保してきたつもりです。
裏を返せば、ピンを狙う、ちゃんとした距離感が要求されるショットについては、数字と丁寧に睨めっこしたのは渡米する2週間ほど前からだったので雑になっており、過去一度も機械的に打つ練習はしてきませんでした。85ヤード以内のサンドウェッジやロブウェッジの距離はそれまで感覚だけで打ってきて、今回のようにグリーンのどこに落として、みたいな精度の要求されるトレーニングはしてきていないですし、それをひたすら反復練習するなんて、やってきませんでした。とにかく、日々のアプローチ練習場では、弾道を色々と変えながら、ある意味適当にバンバン打ってきました。楽しいから。アイアンについても、大体7番でこのぐらいの距離だよね、程度。
今回の大会で上位に入れなかった最大の理由はそこにあると思います。芝が合わないという理由以前に。精密な計測器はアメリカのジュニアの間でも広がっているようですが、何が何でもジュニアの試合で勝つために使うという側面は顕著でありません。それでも息子よりも距離感が良くスコアを出しているジュニアが今回のBoy7にいるのは、そうした遊びをやりまっくているという背景があります、おそらく。計測器を用いた反復練習(それでも目先は勝てると思いますが、あるいは、その方がスコアが確実に出る)ではなくて。今回Boy7で優勝した子も表彰台にのぼったジュニアもそうでした。要するに、息子より遊んでいる絶対量が多いのです。芝で遊べる環境が日本よりも充実しているのかもしれません。さらには、アプローチはこう打つんだよと機械的に教えずに、やりたい放題の部分を残しているのかもしれません。後者についてはラウンドを共にしたパパたちも口を揃えてその重要性を強調しておられました。楽しいから。
息子は試合で勝ちたい気持ちが強く、反復練習が必要だ、ということも今回の大会で体感できた様子です。成長に合わせて道具と身体特性の関係性を崩さないように目配せしつつ、精度の高い計測器を使いながら距離感を養う再現性向上の練習も少しずつ取り入れていきたいなと思います。もちろん今の段階では、遊びに加えてという程度で。芝で打ちまくることと、スピード能力向上は最重要事項のまま。そうなると、あれもこれもとなってしまうので、中々上手くはいかないと思います。やっぱり遊びが中心になるかなと。その絶対量を増やす。楽しいですし。
これまで息子と追い求めてきたのは、ゆったり振っているようで実際は早いスイング。力んでいるかどうかは私には判別できませんが、スイングスピードの早さはUSkidsが蓄積してきた膨大なデータを踏まえて証明されました。
「なんども繰り返さなきゃダメじゃん」。反復練習の必要性。この本人による気づきが、ゴルフの技量向上において言うと今回の大会で得られた最大のお土産です。加えて、一見矛盾するようですけども、遊びが重要だというのも、上位に入れなかった息子が体感して得られたお土産だと思います。ということで今日は原点に戻って、息子が未就学児の頃によく訪れていた小さなアプローチ練習場で親子で遊んできました。
*1 息子の計測シートがこちら。
(裏面)
※ 息子が「見せないで」と言っているデータは消しております。ミスショットが多いので私も... 表面は、米国男子における年月齢別の成長身長グラフと、そこに息子がどこに位置付けられているのか、記してあります。日本でもよく見るグラフです。息子は同じ年月生まれのアメリカの少年たちなかで平均よりも若干高い。意外でした。日本だと早生まれなので。今回ラウンドしたパパだけ見ると、一人の例外もなく圧倒的な差を感じました。骨格も。一方、シートの裏面です。左は愛用ドライバーでの計測データ、右は各身長別にその子のスイングスピードをカテゴライズしたものになります。今回は「試合前だから時間をかけないよ」ということで、スイング6回のデータ。通常はもっと詳しく計測するそうです。他の番手も計測してフィードバックをいただきたかった。このシート以外にUSkidsが蓄積してきたデータを見せてもらいましたがそちらはいただけず、閲覧用。ナイスショット時のデータを右の表にプロット。ミスショットばかりでした... スイング傾向や課題、それを踏まえた道具選びについて詳しく教えてもらえます。スイングスピードに関しては、幼少期に身体に刻み込んでおかないと、あとあとスピードトレーニングを通じてスピード自体は高いレベルに達して同じスピードが出たとしてもそこには力みが生じてしまう、とのことです。ドライバーヘッドについて、大人用の軽いもの(180g後半ぐらい?)と軽いシャフト(30-40g?)にしてもシャフトが長ければスイングスピード能力は向上しづらい。長さも(の方が?)重要。ジュニア振りも誘発してしまう。あまりにもフィードバックが濃いので、試合後に長い時間をかけてスイングを見てもらおうかなと思いましたが、試合で親子ともども疲れ果て、それどころではなくなってしまいました。優勝していたらそうではなかったかも。精神面でも落ち着いた今からすると非常に後悔しております。ちなみに愛用ドライバーのepTOUR Lite 48は、ソールの3つのところに3つの重量の異なるウェイトを組み合わせて全体の重量やヘッド特性を変えることができます。息子は48の推薦重量よりも重くしていたのですが(ヘッドそのものは149g!)、軽すぎだと思って(フェアウェイウッドとの繋がりも考慮して)重めにしていました。飛ばし能力でいくと、重量感が多少あるTour Seriesの方がシャフト特性(ブヨブヨすぎない)もあって高いと思います。アメリカで未就学児ゴルファーを含むジュニアゴルファーとその後の姿を膨大な数、現場で見続けてきたJosh Kinchenさんからは、軽くしろ、と注意されましたので、激軽に戻したいと思います。でも素人的には軽すぎるんですよね... よほどスイングスピード能力を鍛えることがこの時期に大事なのでしょう。練習でスイング棒(軽量タイプの方)を振る量に比べたら、振り回す機会が多いのはエースドライバーであるわけで、レンジでもコースでも。
*2 こちらの動画でもジュニアクラブについて考え方を披露されておられます。“PGA Show 2023 Demo Day - U.S.Kids Clubs," YouTube; GolfSmarterTV, 2023.2.1. 現場で膨大な数のジュニアと接してきたJosh Kinchenさん。かつてBridgestoneに在籍され、知日派です。今回の直接対面でのやりとりを通じてスピード以外にも学ぶことが沢山ありました。指や手首を痛めないためにも、軽量ジュニアクラブ。どこまでの軽さがスイングに悪さをしないのか、とことん考え続けているご様子でした。他にも、打ち出し角が出ないクラブだとスイングづくりに超悪影響を及ぼす。ヘッドの技術進化が著しいとはいえ、ロフト角が極めて重要。楽しさループ。距離感を養う道具選び。後伸びするジュニアの特徴とその逆、などなど。私の見当違いもかなりありました。次の機会に。