2026.6.9
形という原因と結果
2026.6.9
形という原因と結果
(このイベントは形を意識の外に置く)
最近、レンジでの球打ちが増えてきております。5年超、頑なに守り続けてきた親子の方針が崩れつつある。レンジよりもコースでの球数が上回ること。その数をできる限り多く確保すること。
小さい頃はコースでの球打ちの数が圧倒的に上回っていた。楽しさ、今磨きやすいもの、そして身体への負担軽減。あとは球打たずに地味練で。コースじゃないけど会長のところで多様なライから練習していて、それを入れるなら、1週間単位でレンジでの球数は全体の1割程度か。高校生ぐらいになったらバカバカ打って、と思うけど、ある程度身体に自信のある中年男性の私ですらバカバカ打ったら身体のあちらこちらが悲鳴をあげる。もっとトレーニングと身体ケアすれば、とは思うけど。小さい身体に小さい手、細い指、骨。息子は成長期すら迎えていない。
レンジで過ごす時間が増えると工夫を凝らしても必然的に球数が多くなる。ラウンド前のレンジでも息子は丁寧に取り組んでいる感じがする。ただ、質より?量と仮定して、球打ちの量がどれだけ技量向上に貢献しているのだろうか。目の前の弾道は確かに安定する。その弾道を生み出すクラブの動きも安定する。そのクラブの動きを生む身体動作もおそらく安定はする、量をこなさないのに比べれば。で、将来を見据えて、その動作が果たしてゴルファーとして上を目指すものと繋がっているのか。そこが疑問。レンジでマイボールでもないのにどこまで弾道から身体動作へと落とし込めるのか。インドアでは使えるし、数値も正確だけど、目の前に現れる弾道はリアルではない。そんなことより、とは言い過ぎかもしれないけど、成長する身体と道具との関係性を維持しながら練習を重ねていかないと、無駄どころか... ひねりを加えた素振りやフルショット以外の練習だけでいいじゃないかとも感じる。それはそれで楽しくなさそうですけど、上を目指すなら。
アメリカでは物理学、力学、運動科学などに基づいたゴルフスイングの解析が昔から行われている。ここ数年、日本でも紹介されることが多くなったし、専門的な知識がなくてもアメリカ現地の知見がAIを使って色々と学べるようになりました。なるほど、と思うところが沢山にある。その理屈が現場で活かせるかどうかは別して。TPIでも、ある形を生じさせるその条件について、膨大な数のスイングデータをもとにして、はい、こんな具合です、と提示している。これをかなり前からやっているわけで、しかも現場で使えるレベルまで落とし込んでおり、視点の違いはあれど、特段目新しいものではない。形の分析だけにとどまってはいない。
片山晋呉プロのオンライサロンの動画を見ていると、形、に相当こだわっている。なぜその形が大事なのか。その形を生む原因、条件についても言及されておられる。私的に解釈すると、ゴルファーは形からその原因となるものを推論。PGAの一流プロを片山プロがスイング解説している際も、形。ジャンボさんの話を持ち出されておられる時も、形。再現性を高める対象は形そのものというよりは、その形を生むもの。
まずもって、形を結果とするのではなく、結果は弾道。形はその原因。だから先人たちは形ばかりにこだわってきたと思う。そして、なぜその形が生じるのか、それが人によってはカッチりとした言葉を通じてではなく、感覚的に掴もうとしてきた。感覚で掴んできたから身体動作に落とし込める面もある。実践するゴルファーによっては言語化した途端に破綻するケースがあるし、イップスの源にもなりえる。言葉が、ある意図が、動作をぎこちないものにしてしまうケース。意図のない自動化、しかり。だから優秀な指導者は、形から入る。形は結果でもあり原因でもある。これをおそらく現場感覚で積み重ね、そしてそれが集合的に先人の知見となりここまで蓄積されてきた、と感じる。
片山プロがオンラインサロンで特にプロを指導する際に、片山プロにとってのあるべき形を示し(注: その多くが全体ではなく部分に関するもの)、その次に、身体のなかの感覚を説明している。そしてドリルや練習で意識することを提示されておられる。そのあるべき形はドリルや練習を通じてそのゴルファー個人の形へと昇華する。身体のなかの動き(感覚)を片山プロは何度も強調されておられる。再現性は、その身体内部の感覚に関するもの。それは形に現れる。形を真似してその感覚を磨くこともできる。身体的な個人差をもちろん考慮された上で、まずはグリップにこだわっておられる。長く第一線で活躍するプロに共通するものを説明する際にも、形。いちゴルファーにおいて最終的には同じ形であってもそこに到達するプロセスや感覚に焦点を合わせておられる。片山プロは様々な練習器具を使っておられる。自ら作ったもの以外だと、その制作者の意図から離れて使用されておられるのでは、と思う練習器具もいくつかある。圧倒的に先に行っておられるような気がする。
物理的に説明する良さはもちろんある。とりわけ、目の前の現象を理解する点において。じゃあ、目の前のゴルファーをどう教えるのよ、となった時に、意識的に形から入るか、実現したいクラブと身体の動きを無意識的に身につけさせるために素振りや道具を用いた動きをさせる。前者の場合、優秀な指導者でれば、形から入っても結局は身体内部の話になり、その最初に提示された形が個人差を介して若干変わる。その形を完璧に真似ろ、というわけではない。形は入り口に過ぎない。誰も、とまでは言わないけれど、形の再現性なんて本質的には求めていない、と私は思う。
クラブという道具にゴルファーがどう働きかけるのか、については一流プロゴルファーの「感覚」に触れて、息子には自ら考えてもらいたい。形はやはり何かを教えてくれる。弾道を見て、自らその原因を探り、部分や全体を意識して再度スイングする。あわせてそれとは別に、形を通り越して、弾道と身体とが直接対話する時間。
先週U.S.女子オープンを制したNelly Kordaプロは、形にこだわっておられる。練習道具を多用されている。ボールを後ろに置いて当てるようにバックスイングしたり、手首の角度を修正する機具でプレーンを整えたりと、ある意味で形を意識している*1。
Scottie Schefflerプロだって、たとえば、6歳から指導を仰ぐRandy Smithプロと一緒に、トップの形について意識しておられる*2。しかもご本人がグリップの位置を確認し、シャフト、ヘッドの動くところを強烈に意識するよう工夫をしているのがわかる。
ここ数年、息子の練習姿をずっと観察していて思うのは、形ではなく身体感覚の再現性を追っかけているのではないかということ。現在世界ランク1位のお二人が形を強烈に意識するのとは違う。大人の言葉に変換すると、「このスイングをしたときのこの感覚をもう一度得たい!」という言葉に凝縮される。この点は一流ゴルファーも同じだと思うけど、彼ら彼女らは形も相当意識している。ジュニア期の息子とは全然違う。
レンジで結果(弾道)を追求し、時折、スローモーションスイングして形(原因)に意識を向ける今日の後半の息子。動作を確認しながら、形(今度は結果)を生むものを内的対話によって掴もうとしている、と言ったら親バカすぎるか。プロみたい。
今日のホームレンジでは、イベント開催中。その名も、"ロッテ葛西 vs スイング碑文谷 ホールインワン合戦!"。今日の夕方時点では、ロッテが12でスイングが7。大差で負けている。相手は24時間営業の巨大施設。ロッテにも行きますが、息子はいつもジュニア割で使わせていただいている恩を返すべく、そして少しでも勝利に貢献すべく、いつものルーティンをこなしてから、30分ほど80ヤードほどのピンを目指して打ちまくりました。が、0.5ヤードが1つあったぐらいで、なかなかピンをとらえない。その後は諦めて、新調したフェアウェイウッドとユーティリティをバカバカ打ったり、コースモードに切り替えたりして数をこなす。アライメントスティックを置いて丁寧にはやっていたけれど。今週はコースでの球数を上回りそう。
ということで、レンジでのバカバカ打ちを正当化している父でございます。形とは違う意味が含まれますけど、「型があるから型破り、型がなければだたの "型なし"」との勘三郎さんの言葉で締めさせていただきます*3。
*1 Instagram: nellykorda, 2022.10.24. Swingydeはだいぶ前に購入して父が試してみた。他にも効用があるが、仮にこれを使ってタメは生まれなかった場合。これをもって、形だけを真似してもダメだよね、とはならないと思う。これまで自分のなかになかった感覚が得られるわけでして。こうやって道具に力を与えればいいのかな?という感じがある。こうした考えは形を結果として捉える見方がベースにあるとは私は思わない。まさしく形から入る。スイング動作とクラブの動き。形を原因として捉えてきた、ゴルファーそしてそれを支える人。先人たちの背景にも寄り添う姿勢に私は共鳴する。
*2 "Scottie Scheffler and longtime coach Randy Smith | Swing Expedtion with Chris Como | GolfPass," YouTube: GolfNow, 2022.8.23. 前にも取り上げたこの動画(ちなみに投稿の写真にある練習器具はTommy Fleetwoodプロご愛用の練習機具)。形。それにしても、芝の上でバカバカ打つ、ジュニアたちの姿が印象に残る。
*3 "僧侶、教育評論家 無着成恭さん=7月21日死去・96歳," 毎日新聞 (東京朝刊), 2023.12.4. ラジオ番組で中村勘三郎さんが対談した無着成恭先生に影響を受けた言葉らしい。基本が型。先人たちが築き上げてきたものに敬意を表すること。原理原則、とは違う。それは現象に内在するものをこっちがわに寄せて引き出したもの。言葉。概念。理論。