2025.7.10
遮断というより対話
2025.7.10
遮断というより対話
(この地、初ホールはピンそばキャリーで止まらずオーバー)
今日は9ホールを1周のみ。場所は大網グリーンゴルフ。練習場併設のショートコースです。ハウス内でレストラン休憩を挟んで回りまくろうと思っていたところ、雷で2周目に行けず。1周した後、レンジに入ってトップトレーサーでOld Course at St Andrewsを回ってきました。リアルとバーチャルの組み合わせラウンド。順番は逆の方が良かったかも。
100ヤードほどのホールが多く、簡単にワンオンできそうな感じで臨みましたが、風が強くて途中から雨にも降られて難しかった。息子は昨日よりも当たりが良かった。1日でこんなにも変わるのか…
昨日の話、イップスについて。昨日の投稿で触れた澤宮さんのご著書『イップス』では、その対策として「情報の遮断」があげられています。自分のスタイルを貫くことの重要性。私の理解が及んでいない可能性大ですが、「遮断」という言葉にどうしても馴染めなくて、「遮断」も必要なのかもしれないけど、「この動画は見せない方がいいな」と息子に隠してもいずれ触れることになるだろうし、触れても我の強い息子なら裏から見る視点を持ち合わせているだろうし、私は息子の意見を聞きたいし、そもそも完璧なフィルター役をこなせる人がこの世にいるのかなと。少なくても私は無理。
あらゆる大量の情報に接して感度を上げて自ら取捨選択するとか、自分の知らない情報(視点?)に触れて見識を深めたり、その情報に触れる行為自体が楽しい(手段ではなく)という側面もありそうで、イップス対策から離れてしまうかもしれないけれど、「遮断」は息子の飛躍を制限してしまうと私は思っています。
「遮断」「フィルター」というより、良き対話。その相手役としてのコーチ(親御さんや身近な人を含む)。そのスタンスの方が上から目線で子供を見るのではなく、子を信頼している態度として健全かと。もちろんその道の賢人が対話相手として良き存在となり得る可能性が高いことには間違いなさそう。
Old Course at St Andrewsをラウンドした後は(父は打席の後ろで休憩)、会長のアプローチ練習場に行ってきました。天気がすぐれないこともあってか今日も貸切状態。意図しない強いダウンブローでターフを取りまくる息子に(息子は芝にダメージを与えずに打つ練習をここではしたいと思っているのになかなか上手くいかない)、「それは "手打ちそば" だ。芝の削れ方が点じゃないか? ほら、穴だろ?」と会長に声をかけていただきました。たしかにアプローチでこの芝に残された跡の感じは…
芝の上をシュシュっと、芝に軽く跡がついても点ではなく線。「そうだ、R! 今のはラインが出てる」とまだまだ数は少ないものの上手くいったショットがどれなのか教えていただけた。それを再現しようとまたショットを重ねていく。これこそ対話。
おそらく今の息子は、より強いダウンブローの方がスピンかかって攻めやすいのにな(自分のスタイル)、と思っているのかもしれないけど(顔が納得していないw)、会長の視点に触れて考えが揉まれたことでしょう。頭の中に残るはず。私は今後も100%息子のなかに残ると思うけど、それはいろんな視点に触れて本人が取捨選択するもの。前もって誰かが「情報の遮断」を実行することは息子の場合したくない。そんなことしたら、Kazuo IshiguroさんがNever Let Me Goで描いた世界そのもの。
「情報の遮断」をしないとイップスが発症しちゃうよ、と言うなら私は別の対策を考えたい。多種多様な情報への接触と自らのスタイルの追求・維持は両立すると思うから。息子を、そして息子のゴルフを信頼する、というのが美浦での最大の親の学びだったから、なおさら。同組のジュニアさんとその親御さんから学んだもの。信頼こそ、良き対話相手に求められる最重要条件じゃないかと思う父でございます。
*1 本書はゴルフ以外にも、野球、テニス、卓球、陸上、体操、ウェイトリフティング、楽器演奏などにおけるイップスについて取り上げている。「江戸時代に見られたイップス(新書p.222)」として弓道の話も。そこでは技術的な問題以外に精神的な焦りも原因のひとつとしてある。フォームを直すだけでは完治しない。「少年野球のイップス(新書pp.213-215)」について、対策のひとつは「自信」。小中高と全国大会で優勝を重ね、怪童と呼ばれた卓球選手が社会人1年目でサーブイップスに陥り、その後引退。「練習では打てるが、試合では打てない(新書p.220)」。昨日の投稿に加えて、以下、新書版で再読した私の読書感想文。小さい頃から試合に出続けていれば良いプレーが試合でもできる(試合慣れ、場慣れ)とも言えず、試合に出てミスが出れば自信を失う。試合で勝ち続けて自信を超絶高めてもある時を境に(あることをきっかけに)今まで苦労せずにやってきたことができなくなってしまう。自信というよりも、その根底にある他者による信頼。信頼を寄せる&信頼を寄せてくれる他者との対話。それに基づいた自らのスタイルの追求。医学的な対処に加えて、この信頼が対策の鍵となるんじゃないかなと。信頼に基づいた自信とも言うべきか。Tiger Woodsプロ。親御さん、そして飛躍に至るまでのジュニア時代の3人のコーチ、が幼きジュニアゴルファーに寄り添った姿勢が容易に想像できる。寄り添う力。自分に対しても他者に対しても。