2025.12.9
重荷を背負うということ
2025.12.9
重荷を背負うということ
("ゴジラ" マーカー)
ホームコースの東宝調布のマーカーが先日、新調されました。ゴジラ。ここは東宝ですから。 無料とはすごい。商品化すればバカ売れするはず。少なくても、うちは買う。
先週末、バハマで開催されたHero World Challengeで松山英樹プロが優勝しました。Tiger Woodsプロ主宰ということで、思い出されるのは若かりし頃の逸話*1。マーカーについて。
1996年。舞台はU.S. Amateur決勝。相手は当時19歳のSteve Scott青年。今はクラブプロとしてご活躍中。グリーン上でご自身のラインにTiger青年のボールがある。動かしてマークしてもらう。パッティング後、Tiger青年がマーカーを元に戻さないでパッティングしようと準備している。それを知らせたSteve青年。そのまま打っていたら誤所からのプレーとなり、その時点で追い込まれていたTiger青年が優勝する可能性は極めて低かった。当時を振り返ったSteve Scottプロは、「勝負はクラブで決めるべきだ。ルールの不備で勝つものじゃない」と語っておられる。そしてTiger Woodsプロ。
「確かに(戻すのを)忘れていた。…彼が教えてくれたのは本当に素晴らしいことだった。あの時から、僕は常にマーカーを表向きで置くようにしている。もしマーカーを動かしたら裏向きにして、パットのときに裏が見えていれば、動かしたことを思い出せるようにしている。スコットの行動は本物のスポーツマンシップだった。ゴルフというゲームの本質そのものだよ」
動かしたらマーカーを裏にする。息子にやらせようかな、と思ったり。インフルエンザから完璧に回復し、スイング並びにラウンド内容が過去最高の状態かもしれない。ただ親子ラウンドだとパッティングが雑になりがち。特にライン読み。3歳から来ているのでティフトンとベント、どちらのグリーンも知り尽くしている。ホームコースの唯一のデメリットと言えるかもしれない。もちろん、ピンの位置で難易度は激変するし、四季もあって環境は変化しつつも、ショットの精度や飛距離など、成長や課題について日頃からチェックしやすく、なによりも落ち着く。
今日のように、びたびたピンに寄せられるなら(注: ころころピン寄りを含む)、父のライン上にボールを乗せるのもそう遠くない日に訪れそうです。容赦なく父の内側につけるわけですから。
今年のHero World Challengeの最終日。スタート直前のパッティンググリーン。練習器具を使っているプロの姿を殆ど見かけません。実況の田中雄介さんも、解説の田島創志プロも、それに触れておられる*2。試合直前だから? 辛うじてパッティングミーラーがグリーン上に置いてある。でも、誰のものかわからず。その近くにいたScottie Schefflerプロのもの?
PGAツアーで試合当日にパッティング器具をよく目にする気がするけど。例えば、ミラーだと、Cameron Smithプロがだいぶ前から使っていて、我々親子も影響を受けて同じものを買って使ってみたものの、昔のロボットのようにぎこちない動作を誘発し、まだ使うレベルにないなと感じて(注: 逆を言えば、今から使って癖付け)、その他のパッティング練習器具と仲良くならんで倉庫の中に眠っております。特にミラーは自分の顔が映って、息子がニヤニヤして集中できていないようなので、倉庫から引っ張り出すのはだいぶ先かと思われます。
Tiger Woodsプロは昔からティーを用いたパッティング練習はしているけれど、器具を用いて練習をしている印象が私には薄い。そのTiger Woodsプロのパッティングのレベルを引き上げ、L字の使い手の息子が敬愛してやまないBen Crenshawプロも器具を使っている印象は薄いというか、ほぼありません*3。パッティングが苦手で、プロになってから他のプロと比較するなかでデータを改善したいと思って、マシーンのように打つのを目指すなら別かもしれないけど、データが揃うのは一瞬だけだと思う。あくまでも私見で1,2年ぐらい(いちおう根拠はある、データで@日本ツアー)。続かないような気がする。強制的にアドレスやストロークを作っているイメージ。感覚を潰す、対処療法的とでも言いましょうか。イップスの誘発。逆にジュニア時代から取り組んだ方が身体化されて良いのかもしれません。
息子は「ロボットになりたくない。ロボットを作りたい!」と否定的なので、ティーとボードを使うぐらいかな、今のところは。雑さの強化と紙一重。パッティングがうまくいかず、表情が険しくなったらミラーの出番だな。
*1 偶然にも、同大会で松山英樹プロが9年前に優勝した年につくられた動画と記事。Berhow, Josh (2016), "Why Tiger Woods Marks His Ball Heads Up Is an Awesome Story," GOLF.com, 2016.8.16. 動画はこちら。"All Square: Tiger Woods, Steve Scott and the 1996 U.S. Amateur," YouTube:Golf.com, 2019.1.4. Steve Scottプロについてはこちらも。"20 Years Later: Steve Scott Looks Back on the 1996 U.S. Amateur," USGA. マーカーを戻すよう促す。それをしなければ全米アマ制覇。だが、ミスもゴルファーのせい、とSteve Scott青年は考えなかった。「両親が私をそうやって育ててくれたんだよ」というSteve Scottプロは心に響く。子のプレースタイルやマナーに親の姿勢が反映される。頭が痛い。反省。
*2 "ヒーローワールドチャレンジ DAY4," U-NEXT, 2025.12.8. 最終日10番ホールの松山英樹プロのチップイン・イーグルショット。ボールにコンタクトした瞬間に「いやー、いいすね。いいスイングプレーン」と田島創志プロ。一瞬でわかるものなのか。すごい。
*3 Kerr-Dineen, Luke (2018), "Watch this timeless putting lesson Tiger Woods once got from Ben Crenshaw," GOLF.com. 2018.11.20. 1997年。舞台はAT&T Pebble Beach Pro-Am。パッティングが思うようにいかないTiger Woodsプロに対して、「パターを強く握りすぎている」とBen Crenshawプロ。「パターヘッドがバックスイングで手の後ろに "漂う(drift)" ほどゆるく握ることだ」。その時の状況を振り返ったTiger Woodsプロ曰く、「それで手がゆるんで、パターヘッドが手の後ろに入り、あとはパターヘッドの重さに任せてボールを打つだけになったよ」。難解すぎる。パッティングにおいて、器具の多用よりこっちが先だな、と感じて親子で歩んできた5年間。