2024.5.27
Grayson Murrayさん、逝く
2024.5.27
Grayson Murrayさん、逝く
Grayson Murrayプロが一昨日お亡くなりになりました。「チャールズ・シュワブチャレンジ」の初日を11位タイにつけての2ラウンド目、途中棄権、その後自死を選ばれた*1。享年30歳。
本ウェブサイトではかつて、「ジュニアゴルファーのその後」と題して、Grayson Murrayさんが2011年のIMG世界ジュニア(Boys 15-17)で10位タイの成績を収められたことに触れました。2006年から2008年にかけては3連覇。圧倒的な成績をジュニア時代に残された。ミズノを愛用されていたこと、ソニーオープンで優勝を飾ったこともあって、日本人の私は親近感をもっておりましたし、うつ病やアルコール依存症と闘っているという報道にも接していましたので、応援していました。
メディアの報道によると、Grayson Murrayさんは数年前にSNSをやめたそうです。なぜか。生前、抱えていたものに触れながら説明されておられます*2。
「不安神経症、うつ病…。飲酒が多くの問題を引き起こした。他人と自分を比べ、自尊心を保とうと必死になる。それらは誰もが抱える共通の問題かもしれない。でも、一人で立ち向かうのに疲れて、ある日助けを求めたんだ。...ソーシャルメディアは素晴らしいものでもあり、悪いものでもある。(見なくても)みんなの応援を感じているし、母にも『ツイッターは見ないで』と言っている。...僕は少し嫉妬深かった。同じ年、あるいはその前の年に出てきて、成功を収めている選手たちに嫉妬したんだ。嫉妬はいいことではない。人にはそれぞれ道があり、なりたい場所にたどり着くための方法があると思う。僕は30歳で、ずっとなりたかったゴルファーにこれからなれるような気がしているんだ」
昨年秋から私は息子とのゴルフの情景をInstagramで発信し始めました。それ以前は長らくTwitterやFacebookを使い、私の仕事関連の内容を中心にかなり気合いを入れて発信していました。フォローしていただいた方々も非常に多かった。でも訳あってSNSをやめることに。生活スタイルが変わりこれまで描いていた道みたいなものが消滅してしまうという感覚。それに、仕事において自分の身近な人が私の仕事の質や将来性を評価していないんだなと... Grayson Murrayさんの悩みは他人が容易に理解できるものではありません。でもご説明に共感するところが私にはあります。
私がSNSをやめたその当時、まさか息子とゴルフを始めてそれをSNSで発信するなんて考えてもみませんでした。Instagramを始めていなければ出会えなかった方々もおりますし、試合で訪れたアメリカやシンガポールで出会ったジュニアやその親御さんとは、今なおInstagramのメッセージでやりとりしています。やりとり自体は他のメッセンジャー機能のアプリでも可能ですが、日常の光景や考えなどに日ごろ接しながら、それを軸にコミュニケーションが生まれるという状況はInstagramならではだと個人的には感じております。
加えて、息子よりも年上のジュニアの皆さんの練習模様や親御さんの考え方は勉強になりますし、この下の世代への伝達がジュニアゴルフのレベルの底上げにも繋がっているような気がします。まだ息子は7歳ですが、Instagramや本ウェブサイトにおいて年下のジュニアやその親御さんに参考になるような、ある意味で刺激になるようなコンテンツを発信するというのも自覚しています。息子から元気をもらうという側面もある。おそらく。その一方で、Grayson Murrayさんが指摘するように、悪い側面も存在する。
Grayson Murrayさんの説明のくだり、SNSを「(見なくても)みんなの応援を感じているし、...」。頭から離れません。私も発信を辞めようかなと。
謹んでお悔やみを申し上げます。
*1 「米プロゴルファーのグレイソン・マリーさん死去、30歳:両親が自殺と明らかに」, CNN.co.jp, 2024.05.27.
*2 「“3日間二日酔い”だった1勝目から7年 アルコール依存症、うつ病と闘う30歳の歓喜」, ゴルフダイジェスト・オンライン, 2024.1.16.