2024.3.6
ジュニアゴルファーのその後
2024.3.6
ジュニアゴルファーのその後
(良き出会い)
昨年のZOZO CHAMPIONSHIPで2位のBeau Hosslerプロ。息子と観戦した際にその迫力に圧倒されました。大変失礼な物言いになりますけども、それまであまり名前を聞いたことがありませんでした。あの人、誰だろうと。でもどこかで名前を見かけたんだよなぁと数ヶ月思っておりました。ツアーのリーダズボードや記事とかではなく。そんなところ週末ふと思い出しました。
今月からIMG Academy Junior World Golf Championshipsの日本予選が始まりました。かつてのCallaway Junior World Golf Championships。Beau HosslerプロはそのBoys 15-17で優勝されていたのです*1。調べ返してみると確かにお名前がありました。ウィキペディアにも書いてあるわけですが*2。2011年の世界ジュニア。この年のBoys 15-17には、現在ご活躍中のプロが名を連ねております。米国PGAツアーで優勝実績のあるプロをあげると、Bryson DeChambeauプロ(2位)、Si-Woo Kimプロ(6位)、Adam Svenssonプロ(T10位)、Grayson Murray プロ(T10位)、Xander Schauffeleプロ(T14位)など。錚々たる顔ぶれです。他にも、時松隆光プロ(本名、T3位)、パッティングの名手Taylor Montgomeryプロ(T14位)のお名前も。ちなみに同年のGirls15-17で優勝したのは、LPGAメジャーを制したHyo-Joo Kimプロです*3。皆さん現在29歳前後。
あまり褒められた行為ではありませんが、今から13年前、当時このカテゴリーに出場していたジュニアゴルファーのお名前を調べてみると、起業されていたり、専門職につかれていたりと、プロゴルファー以外の道に進まれた方もいらっしゃる。ただ男女ともにプロゴルファーになられている方々が多いのも事実。自国のツアーで活躍されていたり、米国の下部ツアーで活動されているゴルファーも少なくありません。そもそもプロを目指していないジュニアもいると思うのですが、この15-17歳という世代で上位に入っていても必ずしも米国ツアーで優れた成績を収められるとは限らない。PGAやLPGAのツアーは厳しい世界だなと改めて感じます。プロを目指し、さらに上の世代のカレッジゴルファーとして大活躍していても、成功が約束されていない世界ですから。
Beau Hosslerプロは6年間、レジェンドJack Nicklausプロを支えたJim Flickプロの指導を受けていたそうです*4。しかも10歳頃から。そして17歳で予選を通過して全米オープンに出場。肩の怪我などもありプロ転向後は苦労されたとのこと。Jack Nicklausプロは、Jim Flickプロの名著『On Golf』の前書きで次のように記されています*5。「結局のところ、ゴルフをする目的は楽しむこと、自分自身を楽しむことである。Jimほど、ゴルフコースで自分自身を楽しみ、それを促せる存在に出会ったことがない。…これがグレート・ティーチャーの証」。
仮に世界ジュニアを制した10代のBeau Hosslerさんがその後ゴルフ以外の道に進まれたとしても、ゴルフに対する愛は変わらずプレーを続けながら、人生をエンジョイしていることでしょう。自分自身を楽しませることを、ゴルフを通じて外の師匠、それもプロ世界の厳しさを知っているお方に教わったわけですから。母や父、祖父母ではなく。
*3 Tournaments, Girls 15-17, 2011 CALLAWAY JUNIOR WORLD GOLF CHAMPIONSHIPS (IMG ACADEMY JUNIOR WORLD CHAMPIONSHIPS). 2位と5打差の圧勝。
*4 Beau Hossler PGA TOUR; Players. このレベルにもなると怪我だけが課題という印象を抱きます。怪我で差が出てしまう世界。ジュニア時代、特に高校生や大学生のときに世代上位にいても、なぜその後、差が出てしまうのか。低年齢ジュニア時代に使用した道具やスイングの修正、持って生まれたもの、ゴルフ練習環境など多様な要因かつ複雑な因果関係がありそうですが、ジュニア時代から道具を振りまくることで蓄積され誘発される怪我が大きいのかなと。目に見える怪我に限らず。今のところ私の勝手な解釈ですけども、調べれば調べるほどその考えが強くなっております。また別の機会に。
*5 Flick, Jim (1997), On Golf: Lessons from America's Master Teacher, Villard. こちらも名著として読み継がれています。Flick, Jim and Bob Toski (2010), Finding Your Own Fundamentals, Simon and Schuster. 米国Golf Digestのウェブサイトに掲載されているJim Flickプロの記事は学びの宝庫です。例えば、Hockey stick drill(“Split Your Hands,” Golf Digest, 2008.8.6)。他のスポーツから学ぶことは沢山ありそうです。