2024.11.9
言語化しないで学ぶ
2024.11.9
言語化しないで学ぶ
(“左でもだいぶ打てるようになってきなぁ”)
最近、アマチュアの大会を動画で見返しています。そのひとつが、今年8月の全米アマチュア。初日、Luke Clantonさん(世界アマチュアランキング1位)とGordon Sargentさん(同ランキング4位)のプレーをカメラがずっと追っかけていたので、放送当時も釘付けになっていました*1。
1回戦から決勝まで、再度見てみると新しい発見があります。ちなみに日本人はマッチプレーまで一人も残っておりません。そもそも参加しているゴルファーが少ない。一方でスペインは2人のゴルファーがマッチプレー、しかも上位に残っていました。優勝はそのスペインのJosé Luis Ballesterさん。アリゾナ州立大学の学生。上位を占めるのは現地アメリカのゴルファーです。
欧米と日本のトップアマでは何が違うのか。昔に比べて日本でプレーしているアマチュアが世界ランキングを上げるのは難しくなった感じがしますし、この世代でアメリカで日頃プレーしていないと渡米してすぐに結果を出すのは難しいのかなという印象はあります。試合を解説している井上透プロのお話には、その問いに対する答えのようなものが含まれています。体格、競技人口の厚み、他のスポーツとの連動、ゴルフへの向き合い方、そしてゴルフ環境(他にもあります)。
息子と一緒に始めたアマチュアゴルファーとしての私が、ビビッときてしまったのがそのゴルフ環境の話です。日頃練習する場それ自体についてではなく、ジュニアの近くにいる親や祖父母について。以下、準々決勝での井上透プロのお話*2。
「ゴルフが上手くなる要因ってなんなのかって言うと、基本的にすごく大事なのは、環境。それはその上手い選手といかにラウンドできるかというのも環境だとすると、そのお爺ちゃんが過去の名選手で一緒にゴルフをやってくれたというのはものすごく子供にとって有利に働くんですよね。...ありとあらゆるスポーツは目から飛び込んでくる情報で運動を覚えたりするんですよね。なので、 もちろんお父さんがトップ選手の場合有利に働くんですけど思ったより子供と接点を持つ時間が少なかったり、ゴルフをやる時間がなかったりするので、それほど有利に働かないんですよね。その分、お爺ちゃんがとなってくると全然違ったりしますし」
わたくしの義父もゴルフをされておられ、何度も3世代ゴルフ、ラウンドをしてきましたが、残念ながら実父も義父もトップアマではございません。言うまでもなく私は普通のゴルファーでして。要するに、上記の意味でのゴルフ環境について、息子は恵まれていないわけです。
一昨年、昨年に比べるとラウンド数はかなり減っています。技量向上に関するいくつかの理由とは別に(矛盾しますけど本当なら毎日ラウンドしたい)、私とラウンドしていて大丈夫なのかな、という心配があります。私が技術的な指導ができないのはもちろんのこと、井上透プロがおっしゃる「目から飛び込んでくる情報」があまりにも悪すぎる。父のゴルフ。動画ではコントロールできても、接する生身のゴルフは父ばかり...
最近息子は、わたくし父のスイングやコースマネジメントを観察しながら悪い点を探して、それへの対処方法を教えてくれます。完全に教える立場になっている息子。極端に技量の差がある親子の場合(子が上、親が下、というケース)、「目から飛び込んでくる情報」で徳をするのは親。
そんな心配を表現をかえて息子に伝えたところ、「ラウンドレッスンでO君と回ってるから大丈夫」「心配しないで、色々と教えてあげるから。ぜったい上手くなるよ」と息子。今日はアプローチ練習場にもレフティー用のクラブを持ち込んで、悩める父の横で気持ちよく振り抜いている。その様子に嬉しながらも嫉妬めいたものを感じる私。
私がさらに懸念しているのが、言語化の弊害について。人に教えるということは、「背中を見て覚えろ」という以外は、ほぼ言語化することを意味しているわけでして、無意識で動けていたところに言語が介入してチグハグしてしまうのはないかと。大の大人ならともかく、まだ子供ですからよけいに。この懸念を払拭するには、私が技量を上げるしかなさそうです。いつも結論は同じです。辞めたくないので。
*1 「2024全米アマチュアゴルフ 1回戦」, ゴルフネットワーク・プラス.
*2 「2024全米アマチュアゴルフ 準々決勝」, ゴルフネットワーク・プラス. 開始1時間14分あたりから。自分より上の技量をもつゴルファーとラウンドする利点はRory McIlroyプロもXander Schauffeleプロも強調されておられました(本サイト2024.8.21)。ますます親子ラウンドしづらくなる...