2023.12.20
行為の連鎖
2023.12.20
行為の連鎖
(Maverick McNealyプロがボールを転がしていたその場所で)
本日午後、習志野カントリークラブで親子ハーフラウンドしてきました(学校はChristmas holidays)。初めてここを訪れたのはZOZO CHAMPIONSHIP 2021の2日目(本ウェブサイト、2023.12.6の記事「幼少期、中島啓太さんの"そり"遊び」で1日目と誤記しておりました)。嬉しい出来事がありました。あまりにも嬉しかったのでこの翌日、Instagramのアカウントを作成して想いを共有しました*1。訳あって数日でアカウントを削除しましたが、英語でも併記したので特に海外の方々から賞賛の嵐でした(言い過ぎですが、*2 に記した個人的な活動にも繋がりました)。その当時投稿したものをそのまま記します。
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親子ともども初めてのゴルフ観戦となったZOZO CHAMPIONSHIP 2日目 (2021.10.22) でMaverick McNealyさんからサイン入りのグローブをもらいました。ティーショットの後、冷え込んだ雨の中で観戦するカッパ姿の4歳息子を見て、我々の方に駆け寄ってこられました。そして、息子の目をまじまじと眺めて、サイン入りのグローブを手渡してくれたのです。彼と息子との一瞬のやりとりを横で見ていた私は”うるうる”と。ペアでまわられていた中島啓太さん @keita.nkim の視線も、あの2人の姿に注がれているようになんとなく感じました。別のホールでも中島さんは息子に対して優しい目で見つめてくれましたし、息子もカッコいい!とはしゃいでいました。子供は正直ですね。立ち振る舞いに私も痺れに痺れ、プロ中のプロだと感じました、アマチュアですが... 中島さんにも御礼を言いたい。
Maverick McNealy さんは競技中です。競技前や後ではないのです。しかも、時季外れの寒さで、ポケットに手を入れて暖めていた選手が多かったのにもかかわらず。ティーショットを打って、次のショットに向けて心身共に整える大事な時間。予想外のことだったのでとっさに反応できず、thank youすらしっかりと言えませんでした。御礼を言おうと、ホールアウトした後にロープ越しに待ち構えていたのですが、キャディーさんと話し合っていたこともあって、我々に気づかず目の前を通り過ぎてしまいました。姿がだんだんと小さくなって、息子が声をあげると、遠く彼方から振り返って笑顔でグッドサインをしてくれました。名前ではなく、「あ〜」と叫んだだけなのに。
子供やファンに対する明確な想いがなければ振り返ることはないと思うのです。とっさに我々もグッドサインをしました。彼はその後、他の多くの選手が早々と帰る中、パッティンググリーンで雨に打たれながら黙々とボールを転がしていました。Maverick McNealy さんへの感謝を込めて、Instagram で発信し続けて何らかの縁でMaverick McNealyさんに繋がってちゃんと御礼を言うために、そして...
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以上です。
この文章に付け足すと、Maverick McNealyプロ*2からグローブをいただいた時、その組を見ていた人たちはとても少なかったのですが拍手喝采でした。わたくしの横で見ていたシニアの方は「俺は何度も観戦しにきたけど、これはないよ。雨だろ。ありえんよ。彼は日本で自分の名前なんて知られてないだろうと100パー思ってるだろ。それで普通やる?ありえんよ、ありえんよ」と。そう、ゴルフの世界では“ありえん”出来事なのだそうです。コロナ禍でもありましたし。なにせ試合中ですから。
私はゴルフ観戦が初めてで、さらに会場に入って最初にプレーを見たのがこの組でしたので、プロならこのぐらいして当たり前だろう、なんて思っておりました。もちろん、Maverick McNealyプロが突然歩く方向を変えて近づいてこられましたのでビックリしましたし、息子の目線まで腰を下げるお姿をみて嬉しくて涙腺が緩みましたけど。何度もしつこいですけれども試合中です。それが当たり前でないことは周囲のどよめきと、その日、たくさんのプロゴルファーのティーショットや他のショットを間近で見ておりましたが、息子にしっかりと視線を合わせて微笑むプロすらいなかったので…. Maverick McNealyプロとお一人を除いて。
それが当時アマチュアの中島啓太さんでした。Maverick McNealyプロからグローブをもらった次のホールで息子に満面の笑みを送っていただきました。帰る途中で、Maverick McNealyプロは特別だったんだ、と実感したと同時に、二人のやりとりを同組で見ていて中島さんも何かを感じたのかなと思いました。勝手な想像です。すみません。でも確信はあります。以下ご参照を。
翌年のZOZO CHAMPIONSHIPではMaverick McNealyプロにしっかり御礼をしました。我々のことを覚えてくださっておりました。嬉しい限りです。そしてその年は、チリのMito Pereiraプロが試合中、キャディさんに指示して息子にボールを手渡してくれました。今も部屋に飾ってあります。あとは誰一人、息子に笑顔を送っていただけませんでした。試合中ですから。
やはりMaverick McNealyプロは特別だったのです。今年のZOZO CHAMPIONSHIPにMaverick McNealyプロは参加されていなかったので残念でした。でも初日に嬉しい出来事がありました(学校がお休みでしたので平日に観戦)。こちらも試合中です。ティーショットの後。その主役は、Collin Morikawaプロ。そうです、結果的に優勝されました。同組にはAdam Scottプロもいたので観戦者はものすごい数おりました。そんななかでの出来事。今年も、あとは誰一人、いや中島啓太プロを除いて、息子に笑顔を送っていただけませんでした。試合中ですから。
この話は別の機会に。
*1 当時投稿した写真です。2021.10.22. Maverick McNealyプロはラウンド後、1時間ほどパッティンググリーンに。ずっと子供は飽きずに見ておりました。
(サイングローブ)
(Maverick McNealyプロ, パッティンググリーンにて*3)
(ずぶ濡れの息子)
*2 Maverick McNealy, PGA TOUR, Players. 中島啓太プロと同様、世界アマチュアランキング1位のご実績。スタンフォード大学のゴルフ部出身で、Birdies for Educationという活動に従事。父のScott G. McNealyさん(米サン・マイクロシステムズ社の共同創立者)が関わるCurriki(教育コンテンツの無償提供を提唱する教育奉仕団体, 日本ではJTP; 日本サード・パーティが展開)がMaverick McNealyプロのスポンサーに。詳しくはこちら。「JTPが協賛する「Curriki」のスポンサー マーベリック・マクネリ氏が ZOZO CHAMPIONSHIP 2021 に出場されます」, JTP公式ウェブサイト, 2021.10.20. 何らかの縁ですので(勝手ながら)、息子をこうした活動に関わらせております(かなり初期段階ですが)。ご関心のあるジュニアゴルファーの親御さんは私までご連絡ください。
*3 ラウンド後のパッティンググリーンでは他のプロたちがサインや写真撮影に応じるなか、Maverick McNealyプロはひたすらコーチらしき人物とパターの練習をされておられました。試合は試合、それを離れればファンサービス。試合で全力を尽くすこと、プレーでみせるのがプロ、という考えもあるかと思います。パッティンググリーンで息子の姿を見ていて、長嶋茂雄さんの言葉が思い浮かびました。今日しか試合に来ない観客もいる。その観客のためにも全力を尽くせ。正確ではないので、引用しておくと、「いいか、松井。この東京ドームに毎試合、応援に来てくれるファンもいる。しかし、一生のうちで今日しか来られないファンもいる。お前はそういうファンのためにも毎試合出場しろ!」(瀬戸口仁「長嶋茂雄氏と松井秀喜氏の絆に隠された秘話」, All About, 2013.5.16.)。松井秀喜さんに入団当初にかけたとされるお言葉。4歳の息子にとってプレーそのものに魅了されるのはまだ正直難しい年齢。この出来事は息子の記憶にも刻まれております、ファンサービスの場ではなくて、試合という場で。