2025.1.5
こだわりを弱化する質問力
2025.1.5
こだわりを弱化する質問力
(ラウンドの締めも60度?)
今のところ息子はパターに次いで、60度のウェッジがお気に入りです。なかでも、可能な限りバウンスが少ないもの。理由は2つ。本人曰く、難しいから。そして、色んなことができるから。残り距離が55ヤードぐらいで、60度じゃフルスイングになっちゃうなぁ、と泣く泣く56度を手に取る。チッピングでPWを使うなんて頭にこれっぽっちもありません。「下くぐるから56使えば? 60使う状況じゃないでしょ!」と声を荒げて私が言っても、何も言葉が返ってきません。
今日は2025年最初のコースでのレッスンでした。メニューの最初はグリーン周り。チッピンング&ピッチエンドラン&バンカー。52度も56度も全く使う意思なし。途中、先生から「60度でだいぶ低い球も打てるようになってきたね」とお褒めの言葉をもらいつつ、「56度でやってごらん」「今度は52度」と言われると、パパとは違い無視することはできません。当然のことながら手にするわけですが、表情が険しい。先生もそれを見て、失笑。同じく横で笑う私を見て、険しさがさらに増す。もう泣きそうな感じに。
でも慣れてくると転がる球の多くはピンに近づいていく。息子が何を言うのか待っていたら、険しさを通り越してほぼ無表情で「たまたま」と息子。それは必ずしも間違ってはおらず、距離感がバラバラ。それは仕方ない、56度で練習してないですから。そして、先生の目が離れたところで、待ってました、と言わんばかりに勝手に60度に持ち替えて、1度ショートし、2度目はチップイン。満面の笑み。どうだ!という表情を浮かべて私を凝視。それからはひたすら60度。上げに転がしに... 軽い口ずさみのごとく、軽いビートボックスを披露する有様。今度は私の表情が険しくなってしまう。
Tiger Woodsプロや松山英樹プロも60度を多用しているわけではないし、あのPhil Mickelsonプロだってレッスン動画では60度や62度?のウェッジを使って解説されている一方で小さい頃から56度を愛用されていた*1。しかもハイバウンス。それも息子の説得材料にはなりません。試合で下をくぐった経験もあるのに、「それは練習不足だから」と前向きです。
今日のレッスンで中学生のお兄さんが、パッティング、アプローチ、ショットの練習時において、先生を質問攻めにしていまして、会話で得られたことを即、試してみるという姿勢で時間を過ごしていました。先生から何かを言われる前にもう質問している状態。息子と正反対です。同じ時間を過ごしているのに質のレベルに圧倒的な差があります。これが週末、積み重なっていくわけですから勿体無い。
さすがにスイングの指摘、例えばショット時にハンドダウンが強いという指摘を受けて姿勢を少し立たせてヘッドの軌道が良くなったことなどは「たしかに!」「シャフトが寝なくなった!」と受け入れるわけですが、道具に対するこだわりが異常なほど強い。私の懸念は、スイングそのものに対して、ぼくがいちばんわかってるんだ、と言わんばかりの姿勢がほんの少し見えつつある点です。道具に対するこだわりが乗り移ってしまうのではないかと不安です。
お兄さんを見習って質問してほしい。こだわりを持ちつつも、柔軟な姿勢を促進するのが、他者に質問する力だと思うので。自らに問うだけでなく。
*1 「いちばんいいのは56度!? サンドウェッジのロフト、みなさんは何度を使ってる?」, みんなのゴルフダイジェスト, 2022.10.2. Phil Mickelsonプロはジュニアの頃から“ アプローチのエースクラブ” は56度で、そのバウンス角は12度だそうです。