2024.3.17
2つの“The Art of Putting”
2024.3.17
2つの“The Art of Putting”
(3パットは1つ)
今日こそは短めに。注釈は長くなります。
本日は息子、KTGA(Korki Tsurumi Golf Academy)のレッスン。風が強くて花粉が飛び交うなかで、父は目をこすりながら息子の姿を眺めておりました。前回同様、パッティンググリーンでメンバーさんに声をかけられました。「タッチがいいね」「構えがGoodだよ」などとお褒めの言葉をかけていただくとともに、「L字使ってるんだ。見せてよ」「ジャンボさんみたい」というように、手にしているクラシックなL字に皆様関心がおありのご様子。
このL字パター。もともとは私が使用していたパターです。軟鉄素材で、鈍感な私でも打感の良さを味わえます。USkidsのパターを愛用していた息子が2年ほど前からL字に興味を持ち、使うようになりました。息子が好きなゴルファーのひとり、Philip Mickelsonプロを真似てというのもあります。他にも。私がYouTubeやビデオでBen Crenshawプロの動画を見ていると、当然のように「うまいね」「誰、この人?」と息子*1。私「マスターズで2回優勝してる。Tiger Woods(プロ)にもアドバイスをしたことがあるよ」と答えると、「これだからスパスパと入るのか... この形のパターがいいな」と。
「パッテイングはサイエンスではない。アートだ」。Ben Crenshawプロのお言葉です。VHSやYouTubeの動画、インタビュー記事など、パッテイングを解説している場面で、何度もしつこいぐらい強調されておられます。VHSのタイトルも、“The Art of Putting”。字面だけをとると、古いな、と思われてしまう可能性があります。サイエンスだろうと。ただその前後の文脈をしっかり捉えると、超一流の領域において試合で活きるパッテイングはやはり感性に基づいたアート(技術)であり、個々人によって表現方法が異なるという点でもアート(手作り)だと感じます。私の解釈が大いに入り込んでおりますが、パッティングについて科学的に、論理的に説明できるからといって、それを身体に落とし込んで表現するのはまた別の話。パッティングだけに限りませんけども。
最近、メルカリで“Cleveland Designed By Ben Crenshaw Putter”を購入しました。オリジナルではなくて、削り出しの復刻版。当時の価格のなんと1/4。今思うと、Ben Crenshawプロの動画を何度も見ているのになぜ買わなかったのか不思議なくらい。一方、息子が愛用するパターを制作したタイトリストの公式ウェブサイトには、パターの選び方について説明があります。そのタイトルは、“The Art of Putting”。
2つの“The Art of Putting”。Ben CrenshawプロとScotty Cameronさん。かつてScotty CameronさんはBen Crenshawプロにパターを作ったこともあるそうです*3。さすがにレアすぎて出会えませんし、出会えたとしても手に入れることは難しいでしょう。それ相応の値段。
今日のパッテインググリーンで先生と息子はヘッドの動かし方について問答しておりました。それに下半身の使い方。私のパッテイング知識や技術の領域をすでに超えたところでのお話で、なんだか嬉しくも寂しく感じる朝でした。
*1 公式ウェブサイト; Ben Crenshaw. Ben Crenshaw (1993),"THE ART OF PUTTING BEN CRENSHAW (VHS)" HPG (日本語字幕版,『VHS「芸術的パッティング」をあなたに!』, シーティーエー). パッケージの裏には次のようなキャッチコピーがあります。"Who better to teach putting than Ben Crenshaw !” パッティングはこの動画をひたすら見て、実際にグリーンで転がしまくっていれば上手くなるんじゃないかと、書いたところで、私がそうなっていないので説得力がないのですが、これを超えるバッティング動画はないかと思います。"Putting is an art, not a science.” YouTubeでも見られます。公式ではないですけども。ちなみに、Philip Mickelsonプロのコーチ、Dave Pelzさん。パッティングについて、Ben Crenshawプロとは考え方が一見異なりそうです(Golfweek翻訳記事, 「パットの名手にショットメーカーはいない!?」, ゴルフダイジェストオンライン,2003.11.30)。だた本質的には同じことを意味しているんじゃないかと私は思うのですが勉強不足なのでしょう。ちなみにDave Pelzさんのパッテイング解説書のサブタイトルには“Scientific”の文字があります。翻訳書のタイトルは「パッテイングの科学」(児玉光雄訳, 新装版, ベースボール・マガジン社,1999)。原著はこちら。Pelz, Dave (1991), Putt Like the Pros: Dave Pelz's Scientific Way to Improving Your Stroke, Reading Greens, and Lowering Your Score, William Morrow Paperbacks.
*2 “SCOTTY CAMERON PUTTER SELECTION GUIDE: THE ART OF PUTTING,” Titleist. このなかで“EVERYONE NEEDS TOE FLOW”という見出しで、「パターのトゥがストローク全体を通して”フロー”しなければならない」と説明、パターの形状をどう選ぶのか、具体的に指南されておられます。パターにまつわる他のテーマについても、同ページにScotty Cameronさんご自身による解説動画がありますのでぜひ。
*3 “PUTTER DETAILS: PUTTER MODEL: SCOTT CAMERON 88BC,” SCOTTY CAMERON. 説明文には、“Designed by Scotty for Ben Crenshaw. Napa style head shaped like a popular Wilson heel shafted model.”とあります。このモデルの存在を最近知りました。そうとは知らず、私が使っていたNapa。Ben Crenshawプロの考えが反映されたモデルを継承したNapa。勝手ながら縁を感じます。