2024.11.28
大学ゴルフ部の顧問
2024.11.28
大学ゴルフ部の顧問
(大学生が来る前に、17時スタート)
昨日付(2024年11月27日)で大学のゴルフ部の顧問(部長)になりました。当初は、再来年度からを予定していましたが、来年で創部70周年をむかえますし、そして私のゼミにゴルフ部所属の学生がいることもあり、意思疎通が深まるこのタイミングで早く関わりたいなと思っておりました。前任者のご厚意にあずかり引き継がせていただきました。
これまで監督さんがいらっしゃらず、今のところ空席ですので私が現場に出ていく機会が多そうです。通常、大学ゴルフ部の場合、他の部と同様、顧問(部長)と監督は別の人が担います。例えば、松山英樹プロの母校、東北福祉大学では、金谷拓実プロが在籍されていた時には、顧問は副学長(なんと強豪の野球部も兼務)、監督は阿部靖彦さん(かつては野球部の監督も!)が務めていらっしゃいます*1。
外部から監督さんをお呼びするのであれば最終的に私が決める必要があります。責任重大です。監督さんなしに私が現場を見る可能性もゼロではないですが、現部員とOBOGの方々とも対話を重ねた上で、部員にとって最善の環境をつくりあげていきたいなと思っています。
息子の将来のことも考えて、アメリカのカレッジゴルファーの環境を昔から丹念に追っかけきたので、頭の中には複数の型が入っています。そこから選んだり組み合わせたりしたい。ただ日米、大学事情が違いますので、上っ面だけを真似しても良いことはなさそうです。資金的にも限られている。しかも大学は都会のど真ん中。
ここ最近になって、日本の大学ゴルフ部の成り立ちや現状もそれなりに理解しようとつとめてきました。ゴルフ部の運営に携わってこられた方々に話を聞くのが一番良いのですが、まだ就任は先かなと思っていましたので実行に移せておりませんでした。団体戦として戦う相手になりますので聞きづらい状況ではありました。ゴルフ部以外の部の顧問や監督さんからお話を聞く機会はありました。ただ私の経験がないので、どこまでちゃんと理解しているのか怪しく、あまり実感がないというか普段の教育実践の場で感じることと異なる点が多いなと感じております。
日本のゴルフ部に関する2次資料についてはありとあらゆるものを収集し目を通してきました。そのなかでもやはり参考になるのが当事者、特に監督さんの声です。昨年『週刊ゴルフダイジェスト』で特集が組まれた「大学ゴルフ部・新進気鋭の監督に聞いた! 育つ力」(2023年12月19日号)。大学ゴルフ部の監督さん3人が、どういった背景や想いで監督になられ、日頃どのように学生たちと接してきたかを説明されておられます。早稲田大学の斉野恵康監督、日本体育大学の木原祐二監督、大阪学院大学の林栄作監督。みんなのゴルフダイジェスト(ウェブサイト)にて、お一人ずつ記事が再構成されています。ダイジェスト版になります。
ウェブ版の連載順にまずは(他のお二人はまた後日)、早稲田大学ゴルフ部の斉野恵康監督。就任にあたって支えになったのが、やはり、その道の賢人の話です。長年ゴルフ誌の編集に携わってこられた斉野監督。直接お話を聞いた岩出雅之監督(帝京大学ラグビー部)の考え。名将、岩出監督ですら就任後10年間は全く結果が出なかった。でもその後10年勝ち続けた理由は、“文化” にある 。答えは“フィジカル”ではないかと想定していた斉野監督。岩出監督がおっしゃる“文化”とは、具体例をいうと、身の回りの環境を学生自らがきちんと整えたり、練習メニューを上級生が考えてその目的ともに下級生に伝えたりすることを指しています。
斉野監督は早稲田で継承されてきた文化を引き継ぎながら、トレーニングを土台に、“強化と文化”に注力。ご自身の仕事は、「学生のモチベーションアップ」と捉えて行動する。創部は1935年。私が顧問を務めるゴルフ部よりもさらに20年前。文化を引き継ぎながらも時代に合わせていくのはとても難しいことだと思います。斉野監督はどう考えておらるのか。
「...世の中には手段だけ継続して目的を見失っているものもあります。“伝統”というものにはありがち。でも伝統とは、目的や目標、理念や理想を受け継ぐことであり、そのための手段は変えていって構わないと考えています。コーチング理論も学んでいますので、選手を自分のロボットに作り上げようとはしない。自分で考え正しい方向に育っていけるために必要なことを手助けするのだと思っています」
大学のゴルフ部は野球やサッカーといったチームスポーツにはない難しさがあると思います。もちろん大学のゴルフ部は、団体戦として競技に参加するのでチームスポーツの側面もあります。ただ、ジュニア時代から特定の先生に習ってきた学生、そうでなくても個人として競技に出てきた学生がほとんどです。日本にもPGAジュニアリーグや高校でも団体戦はありますが、それでも個人競技の試合が多くを占めています。アカデミーやグループレッスンというスタイルはあるものの、一個人として練習する時間が大半かと思います。部において、初心者から世代トップレベルの技量をもつ学生がいる場合、得てして纏まりが緩んでいく。団体戦に出れない部員のモチベーション、一緒に集まって取り組む意義、部のコーチの存在意義、みんなが必ずしもプロを目指しているわけではないという部員間の温度差など。部活動に求めるものが個々人で異なる。大学が部員に提供できる質の高いサービスとは何か。非常に難しい点があります。
難しいなと感じているのはそれだけではありません。我々親子のホームコースとなっている東宝調布スポーツパークには、18時頃になると都内の大学ゴルフ部の学生たちが姿を現します。キャディバックには大学名が記されていますし、複数人で訪れているのですぐにわかります。東宝調布には息子が3歳の頃から来ていますので、4年あまり、ある意味すぐ横で大学生たちの姿を見ながらゴルフしてきたわけです。とりわけ、ラウンド前のレンジにて。ちょっとやらしいですが、将来、ゴルフ部で何かできないかなと薄々思っていましたので、ねっちり観察してきました。本人たちと会話したわけではありません。ただ観察していると、トレーニングを集団で取り組むのは別として、玉打ちを一人で練習するのと仲間とするのとは、それぞれ良い部分と悪い部分があり、負の側面についても現実として否が応でも目に入ってきます。それとは逆に、プロになってトップ・オブ・ザ・トップになるという目標を設定していても、個人練習の方が断然良いとは言い切れない集団練習の良い部分もあります。集団の中で個をいかに育てるのか、その具体的な環境の中身が日米の大学ゴルフ部で大きく異なると個人的には考えております。どちらが良いのか、という話ではありません。“文化”の違い、といってしまえばそれまでですが。長くなるので別の機会に。
本日も大学生の姿を横で見ながら(今日は個人練習日?)、いずれ部員が試合で競うのだなと思うと、これまで観察していた時に生じていた気分とは全く違ってきます。これから現場に出ることも多くなるでしょうから、私の顔を覚えられるとなると、東宝調布での親子の練習も周りの目を気にしながらやらざるを得ません。わいわい親子でやっていた東宝調布は、今後、変な緊張感のあるゴルフ環境となりそうな予感がします。
*1 「ゴルフ部・金谷拓実選手が「マスターズ」ローアマ目指す/出発前会見」, 東北福祉大学, 2019.4.3.
*2 「「パーオン禁止ラウンド」で"賢いゴルフ"を磨いてる!? 日本アマ王者・中野麟太朗を輩出した早大ゴルフ部の育成方針【大学ゴルフ部の教え①斉野恵康監督】」, みんなのゴルフダイジェスト. 記事によると、斉野監督は関東ゴルフ連盟(KGA)の委員をつとめられ、ジュニアの保護者講習では心と身体の話をしておられるそうです。ゴルファーになってからアスリート、これは心において。身体においては、まず先にアスリート(総合的に高い運動能力)。息子も私も実践中ですが、高次元でとなると、これがなかなか難しい...